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東文研セミナー「公式な秩序/ヴァナキュラーな秩序—政治経済の民俗学的転回に向けて—」(科研「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」)
(研究代表者:菅豊)が開催されました

報告

2023年12月9日(土)13時から東文研セミナー「公式な秩序/ヴァナキュラーな秩序—政治経済の民俗学的転回に向けて—」(科研「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」)が開催された。本研究会は、菅豊教授(東京大学)を研究代表とする科研プロジェクト「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」の第6回研究会である。 研究会では、まず塚原伸治氏(東京大学大学院総合文化研究科)と河野正治氏(東京都立大学人文科学研究科)から本研究会の趣旨説明として、本研究会で議論を進める「ヴァナキュラー」概念の現代民俗学および現代人類学における理論的動向が紹介され、問題提起がなされた。 続いて、塚原伸治氏から「美的コミュニケーションとしての経済と市場の相剋—民俗学から考える「伝統経済」と民衆の美学—」、河野正治氏から「硬直した政治権威と生まれゆくヴァナキュラーなもの—ミクロネシア人類学から考える「伝統政治」と民衆の想像力/創造力—」と題し、日本の伝統的地方都市社会における贈与交換と市場の論理の相剋のなかにあらわれる人びとの美学や、ミクロネシア連邦ポーンペイ島(旧ポナペ島)の「伝統政治」をめぐる民衆の政治的攻防に関する発表がなされた。 発表を受け、加藤幸治氏(武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程)から両者へのコメントと、ヴァナキュラー概念の理論的枠組みに基づいた議論の整理がなされた。 その後、全体討論として、会場に約20人、オンラインに約30人の参加者も交えた活発な質疑応答や討論が交わされた。

※本研究会はJSPS科研基盤B「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」(研究課題/領域番号22H00767)の研究成果である。

当日の様子

 2023年12月9日菅先生東文研セミナー 2023年12月9日菅先生東文研セミナー
 2023年12月9日菅先生東文研セミナー 2023年12月9日菅先生東文研セミナー

開催情報

日時:2023年12月9日(土)13:00~

会場:東京大学東洋文化研究所大会議室

発表者:
河野正治(東京都立大学人文科学研究科)・塚原伸治(東京大学大学院総合文化研究科)「趣旨説明」
河野正治「硬直した政治権威と生まれゆくヴァナキュラーなもの—ミクロネシア人類学から考える「伝統政治」と
民衆の想像力/創造力—」
塚原伸治「美的コミュニケーションとしての経済と市場の相剋—民俗学から考える「伝統経済」と民衆の美学

コメンテーター: 加藤幸治(武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程)

コーディネーター:
河野正治
塚原伸治
菅豊(東京大学東洋文化研究所)

趣旨:
近年の民俗学では、ヴァナキュラーという概念を用いた事例研究が蓄積されてきた。なかには、ヴァナキュラーを民俗学の中心概念に据え、学自体の在り方を刷新しようとする動きもみられる。こうしたヴァナキュラー文化研究が、従来の民俗学では研究対象とみなされてこなかった人々の創造的な営みをその視界に収め、民俗学の研究対象を拡張したことは確かであろう。ただし、ヴァナキュラーという語の成り立ちが古代ローマの奴隷制と密接に関連していることや、政治学や文化人類学においてヴァナキュラーという概念がマイノリティの政治や周縁的な人々の経済実践を論じるために使用されてきたことを踏まえるなら、政治と経済の領域はヴァナキュラー文化研究の射程に当然含まれるべきである。本研究会ではそのような問題意識から、民俗学者と文化人類学者それぞれによる研究発表を通じて、ヴァナキュラー文化研究がいかに政治と経済を扱うことができるのかを議論する。現代民俗学とアナキスト人類学の接点について考えることも狙いの1つである(文責:河野正治・塚原伸治)。

■共催:現代民俗学会、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会、野の文化論研究会(科研「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」)グループ(研究代表者:菅豊))

 



登録種別:研究活動記録
登録日時:FriDec1513:22:452023
登録者 :菅・松山・多田
掲載期間:20231216 - 20240216
当日期間:20231209 - 20231209