東アジアの環境変化と生業・健康転換
とくに中国大陸と日本列島を対象に、フィールド調査と空間情報科学を併用しながら、河川や湖沼、森林における環境の変化と在地の生業・健康転換のプロセスを研究しています。具体的には、自然や社会環境の変化が生活の現場にもたらしたインパクトと在地の人びとの対応のメカニズムを村落と世帯レベルから検討しています。
これまでは、日本・琵琶湖の移入外来生物(オオクチバスやブルーギル)と漁師たちの対応、高齢化が進む房総半島白浜の海女たちの生計のたて方、中国・海南島の焼畑農耕民リー族の生活変容、江西省ポーヤン湖の鵜飼い漁師たちの生計維持を事例として取り上げてきました。
今後は、“環境と健康”をキーワードに、自然環境や生業経済、食生活、医療、生活の質、衛生といった多分野のアプローチによってアジアの健康をめぐる研究の可能性と課題を考えていきます。

史料に描かれていた中国の双胴船.(Dabry de Thiersant,P. 1872. “La Pisciculture et la Peche en Chine”.Librairie de G. MASSON. Paris.より転載)

湖北省で現在でも使用されている双胴船(撮影:卯田)
自然利用に関する技術と知識(エスノ・サイエンス)
日本列島を含むアジア地域には、原生野生種である植物や動物のなかから栽培植物や家畜を作り出し、生業や生活に利用している事例が多い。そして、動植物の 馴化や栽培化の目的や度合は地域によりさまざまな違いがみてとれる。
今後は、アジア地域の動植物利用に関わる知識や技術(エスノ・サイエンス)を収集し、人間と動植物の関係を成り立たせている社会経済的な背景や自然観の検討を進める。また、ヨーロッパの事例との比較も視野に入れています。