W19

ニザームッディーンのバーオリーとして知られており,ニザームッディーン=オーリヤーの墓の北方約40メートルにある。附図.I-9
北側に階段をもつ長方形のバーオリーで,現在は,水面まで22段を数えるにすぎないが,ASIによれば,1914年6月には40段が水面上に現われていたという。水面の下がどうなっているかについてはわからないが,一般のバーオリーと異なって,外側に井戸が認められないところから,単に湧水と雨水を利用したタンクだけのものか,あるいはアードチーニーのバーオリーの例に見られるように,タンクの底に井戸をもつ形式のものであったかもしれない。このバーオリーの南側には,シェイブ=ニザームッディーンの墓に通じる通路があり,また,バーオリーの周辺には,時代を異にするさまざまな建造物が立ち並んでいる。このバーオリーの建設の事情については,シェイフ=ニザームッディーン=オーリヤーの宗教活動と関連するさまざまな伝承があるが,おそらくは,デリー諸王朝時代の初期の後半に建てられたものと考えてよいであろう。第Ⅰ期。
東研.Ⅲ-6;ASI.Ⅱ-189

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