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ガンダク=キ=バーオリー(Gandak ki Bauli)とよばれており,クトゥブ=ミーナールの南南西約700メートル,クトゥブ=サーヒブのダルガーの近くにある。附図.F-13
このバーオリーは,南北に長い長方形で,南のはずれに円い井戸をそなえている。南側の底にはタンクがあり,北側に,それに達する長い階段がある。南側の正面は四層からなっていて,各層は,井戸とのあいだに窓を開いており,階段の途中から東西両壁の内側にそって走る四層の通路によって,それらの窓に達することができる。最上層の窓の北側には,6本の柱をもつヴェランダがある。このバーオリーの西壁の頂部にのこる水溝と,バーオリーの西北隅にある小さなタンクとは,後代に追加されたものである。このバーオリーは,近くの,奴隷王朝時代の聖者,クトゥブ=サーヒブのダルガーと関連して,構築されたものかもしれない。バーオリーの石積みも,その時代の特徴をよく示している。現在では,タンクの水は汚濁をきわめ,悪臭を放っているが,なお,附近の住民やダルガーの参詣者によって利用されている。しかし,このバーオリーの俗称のおこりとなった硫黄(ガンダク)のにおいは,もはや消えてしまっている。第Ⅰ期。
東研.Ⅸ-11;ASI.Ⅲ-17

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