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ダリヤー=ハーン(Dariya Khan)の墓として知られており,キドワーイーナガル住宅地の東部にある広場を占めている。附図.H-10
この墓は,上下二層のひろい基壇をもつ大規模な構築物で,中央に,さしわたし約9メートルの,本来は十六角をなしていたと思われる基台の上に,なかば崩壊した1基の墓がある。この基台は,約29メートル平方の高い上層の基壇の中心に位置しており,それをめぐって,この基壇の四隅には,それぞれドームをいただく十二本柱からなる,四角平面のチャハトリが立っている。そのうち,西側にある二つは,ドームの部分がほとんどくずれ落ちてしまっている。これらのドーム内部の基部には,碑文と帯状文様とが,なお,認められる。この上層の基壇には,西をのぞく三方に階段があって,下の基壇に通じている。この下層の基壇は,東西約61メートル,南北約50メートルの矩形をなしており,東側には,その中央部から張り出している門と,その左右の一列に並ぶ部屋との痕跡が,現在なお,認められる。この基壇の西側には,中央とその左右の,あわせて三個所に,わずかな突き出し部分がのこっており,また,四隅には,バスティオン風の小塔の痕跡も認められる。
ローディー朝時代には,ダリヤー=ハーンの称号をもつ著名な貴族は二人いたが,従来,この墓は,そのうちのダリヤー=ハーン=ローハーニーのものと考えられてきた。しかし,それを裏づける積極的な資料がないばかりか,むしろ,この建物は,様式からみて,それに先行する第Ⅱ期に属するもののように思われるので,従来の伝承や比定には,なお検討の余地がのこされている。第Ⅱ期。
東研.Ⅳ-12;ASI.Ⅳ-60

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