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カダム=シャリーフ(Qadam Sharif)とよばれているもので,ニューデリー鉄道駅の北北西約600メートル,クトゥブ=ロードの西約200メートルにあるカダム=シャリーフの城壁の西端にある。附図.H-6
この墓建築は,中央の主屋と,それをとり囲む建物群とからなっている。中央の主屋は,16本の柱に支えられた平坦な屋根をもつ長方形の建物で,四方に張り出しの部分をもち,西側をのぞく三方が入口となっている。張り出しの部分の屋上には,それぞれ四角のチャハトリがのっている。この主屋は,後代の改変が著しく,とくに,これをとり囲む楕円形の囲壁と,室内の大理石の床,および屋上の壁は,後代に追加された部分である。この主屋の南側と北側とにある建物は,ドームをいただく12本柱からなる部屋の部分と,それを結ぶ列柱の部分とからなり,北側の建物の東端に入口がある。主屋の東側には,ムガル時代に属する長方形の建物があり,さらに東には,フィーローズ=シャー=トゥグルクの時代のものといわれる建造物があるが,現在では,管理者の女性親族の居室となっているので,近寄ることができなかった。
カダム=シャリーフとは,マホメットの聖なる足跡を指すのであるが,フィローズ=ズーシャーが,それをこの地に安置させたと伝えられているところから,この場所をもカダム=シャリーフとよんでいる。この建物の内部には,その遺物とこれにまつわる人びとのものと伝えられる墓がある。第Ⅱ期。
東研.Ⅱ-6;ASI.Ⅱ-349

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