T078

ムハンマド=シヤー=サイイド(Muhammad Shah Saiyid)の墓としてひろく知られており,サフダル=ジャングの墓の東北東約750メートル,ローディー=ロードの北約100メートル,ローディー公園の内部にある。附図.H-9
ドームをいただく外辺9.6メートルの八角平面の建物で,八角形の墓室と,それをとり囲む廻廊とからなっている。廻廊のそれぞれの面は,三つのアーチをもっており,隅の部分は,バットレスによって補強されている。廻廊の屋上はヴェランダになっていて,小さなドームをのせる八本柱からなるチャハトリが,それぞれの面に一つずつ配置されている。一辺4メートルの墓室の各面は,西をのぞいて開かれているが,本来は,扉や石のスクリーンがはめられていたものらしい。西側は,かつてはミヒラーブをそなえていたと思われるが,その後破壊されたらしく,現在では,後代の乱雑な積み石によってふさがれている。大ドームの内部は,中央の円形文様と周囲の交叉アーチや,基部をめぐる碑文・文様などによって飾られている。8基の墓石が現存しているが,中央のものがもっとも大きい。
この建物は,これまで,サイイド朝のスルターンであるムハンマド=シャーの墓とされてきたが,それを裏づける確かな証拠はない。第Ⅲ期。
東研.Ⅲ-1;ASI.Ⅱ-43

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