T077

ムバーラク=シヤー=サイイド(Mubarak Shah Saiyid)の墓としてひろく知られており,ムバーラクプル=コートラ部落の内部にある。附図.H-10
この墓建築は,ドームをいただく八角平面の建物で,八角形の墓室と,それをとり囲む廻廊とからなっている。廻廊の各面の外側は,それぞれ,三つのアーチをもっており,その両端にあるバットレスが,この建物に安定感を与えている。廻廊の屋上は,ヴェランダになっていて,小ドームをいただく八本柱からなるチャハトリが,各面に一つずつ,あわせて8個立っている。また,中央ドームの頂部には,小さなチャハトリをのせている。墓室は,西にミヒラーブをもち,他の7面は,同じようにアーチ型をなしているが,南面は入口となっており,他の面には,赤い砂岩のスクリーンがはめられている。赤い砂岩の敷石をしきつめた床面には,7基の大理石の墓石が並んでおり,中央のものがもっとも大きい。ドーム内部は,交叉アーチの文様と,基部の三重の帯状文様や碑文によって飾られている。この建物の周囲には,石敷きがめぐらされている。
この建物の南と西との方向に,現在,二つの門がのこっているが,おそらくは,かつて,かなりの規模をもつ囲壁が,この墓建築をとり囲んでいたものであろう。この建物を,サイイド朝の第二代のスルターンであるムバーラク=シャーの墓とすることについては,決定的な資料はないが,種々の理由から,その可能性も大いにある。第Ⅲ期。
東研.Ⅳ-3,6;ASI,Ⅳ-41

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