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ハウズ=ハースのマドラッサとよばれており,ハウズ=ハースの東南隅にある。附図.G-11
フィーローズ=シャー=トゥグルクの墓をはさんで北と西とに立ち並ぶ,貯水池に面する二層の建物群からなっている。墓に接する中核部は,北と西の部分とが同じプランをもっていて,ドームをいただく四角平面の部屋が,間口5間・奥行3間の列柱の間をはさむかたちとなっている。ドームの部屋は,各層とも,貯水池に面して,張り出し窓をそなえている。この中核部分から,さらに,北と西の延長線上に,同じく二層の別の建物がつづいている。北の建物は,現在では,ほとんど崩壊してしまっていて,そのプランは明らかではない。一方,西の建物は,ドームをいただき,張り出し窓をそなえる方形の部屋を中心として,その両翼に,多数の小部屋をもつ建物であったらしい。これらの建物群は,1910年代に,インド考古局によって発掘調査と保存のための補修工事とが,全般にわたって実施された。これらの建物群は,これまで,トゥグルク朝のフィーローズ=シャーが建設させた教育施設であるといわれてきたが,その環境と規模とからみて,あるいは,離宮としての役割をももっていたものかもしれない。なお,北方には,ほぼ時を同じくして建てられたと思われるモスクがあり,また,東側の広場には,いくつかのチャハトリ風の建物がのこっている。
なお,南側の広場にある建物は,ドームをいただき,東西に入口を開く四角平面の部分と,その東側の内庭をはさんで南北に相対する,それぞれ間口3間・奥行1間の部屋の部分とからなっている。この建物の内庭の東側には囲壁があり,その南寄りに,小さな門が設けられている。ASIは,この建物を,住居と推定しているが,おそらくは,その北に存在する,上述のマドラッサと関連をもって建てられたものであろう。さらにこの建物の西にある建造物は,ドームをいただき,四方に入口を開く四角平面をもっており,おそらくは,門であったと思われる。第Ⅱ期。
東研.Ⅵ-11-2,10,11;ASI.Ⅲ-309,317,318

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