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ピール=ガーイブ(Pir Ghaib)とよばれている。デリー大学正門の南方約1.3キロメートル,デリー=リッジ上のラーニー=ジャーンシー=ロードの西側にある。附図.H-4
二層の建造物で,下層は数室にわかれているが,上層の部屋は,その西側にミヒラーブをそなえているので,あるいは礼拝に用いられたものかも知れない。屋上から二階・一階の天井をつらぬいて,円形の穴が上下垂直の位置につくられており,このことからこの建物を天文台とする説も行なわれたが,断言はできない。南面の外側に屋上に達する階段が二本,平行して設けられているが,現在のものは.おそらくは,後代の追加物であろう。この建物は,クーシャケ=シカール(Kushak-i shikar),すなわち支配層による狩猟その他のための宮殿の一つであったと推定される。なお,ピール=ガーイブとは,「消えた聖者」の意味で,かつて,この建物を修行の場としていたといわれるスーフィー聖者にまつわる伝説から,この建物も,その名でよばれるようになったものである。第Ⅱ期。
東研.Ⅰ-2;ASI.Ⅱ-401

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