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神さまはいますか

by 青山 和佳(南アジア研究部門 准教授) 13:30 ~ 15:00(13:00 開場)

-キリスト教から現代フィリピンをみてみよう-

卯田 宗平(汎アジア研究部門 講師) 10:00 ~ 11:30(9:30 開場)

概要

「21世紀はアジアの時代」というフレーズにこの地域の経済発展を思い浮かべるかもしれません。たしかに経済的繁栄も著しいのですが、じつは同時に宗教の再興も起こっています。豊かになるとともに神をもとめる人びともあれば、逆に貧しさから神をもとめる人びともあります。

この報告では、フィリピン・ミンダナオ島のダバオ市の海サマ人のペンテコステ派キリスト教入信をとりあげます。この例を通じて、いまなぜ現地の人びとはキリスト教の神に祈るようになったのか、また祈ることで日常生活にどのような変化が起きているのか、考えてみましょう。

講師紹介

  東南アジア、とくにフィリピンの人びとの暮らしについて研究しています。国民国家と市場経済という枠組みにおいて、あまり目立たないために忘れ去られたり、逆に「ふつう」と異なるために目立ったり、ときには負の価値を負わされがちな存在に、関心をもってきました。具体的には、「マイノリティ」とされる人びとの暮らしについて、その物質的基盤(経済活動)と精神世界(信仰・宗教)を関連づけて、民族誌(エスノグラフィー)という研究方法によって描きだすことに取りくんでいます。現在は、ミンダナオ島、ダバオ市のサマ・ディラウトの暮らしについて3世代にわたる民族誌をつくっています。それ以前は、ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センによる潜在能力アプローチに刺激をうけ、「『貧しい』とされる人びとはいかに生きているのだろうか」と問い、3年間、上記のサマ・ディラウトの集落に通いつづけ、5つの家族について経済生活・政治生活・宗教生活の観点から民族誌をつくったり、国際開発援助という介入がそうした貧困層の暮らしに与える影響について理論面と実証面から共同研究をしたりしていました。今後も、民族誌的研究をつうじて、「ひとの善き生」とはなにか、「他者との共生」はいかに可能か、という問いを追究していくつもりです。

1968. 北海道生まれ
1992. 慶應義塾大学卒業
1995. 慶應義塾大学大学院商学研究科修了
1997. フィリピン・アテネオ・デ・マニラ大学フィリピン文化研究所 訪問研究員 (1997-1999)
2001. 東京大学大学院経済学研究科・経済学部 助手
2002. 東京大学大学院経済学研究科修了(博士(経済学))
2004. 和洋女子大学人文学部 助教授 (2004-2007)
2007. 日本大学生物資源科学部 准教授 (2007-2009)
2009. 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 准教授 (2009-2014)
2013. 米国・ハーバード・イェンチン研究所 訪問研究員 (2013-2014)
2014. 東京大学東洋文化研究所 准教授