おしらせ

アジア古籍保全 講演会・ワークショップを開催しました


去る2005年12月16日(金)、東洋文化研究所ではアジア古籍の保存と利用に関して各分野の専門家を招き、アジア古籍保全講演会・ワークショップを開催しました。当日の様子を簡単にご報告します。
 
 
講演「書籍の有害生物管理」
 木川りか氏
 東京文化財研究所保存科学部

資料の保存を検討する際に欠かすことの出来ない「IPM(総合的有害生物管理)」という考え方や、資料を取り扱う現場で虫害を防ぐために日常的にできる取り組みなどについて、ご講義いただきました。
 
講演「アジア古籍のための環境管理」
 稲葉政満助教授
 東京芸術大学大学院美術研究科
 文化財保存学

紙の劣化要因や、紙の持つ特性から考えられる望ましい保存環境などについて、統計データを元に分かりやすくご講義いただきました。
 
事例報告「国際連携漢籍資料庫の夢」
 丘山新教授
 東京大学東洋文化研究所

インターネット上で公開している東洋文化研究所所蔵漢籍目録データベース漢籍善本全文影像資料庫について、構築から公開までの経緯や、今後の展望などをご紹介いただきました。
 
ワークショップ
「保存管理と補修計画」

 小島浩之助手
 東京大学経済学部資料室

アジア近現代資料に対する経済学部資料室での試みを例に、保存・補修計画を立てる際の考え方やノウハウをご教示いただきました。また、資料の酸性化チェック等の実習も行われました。
 
ワークショップ
「紙媒体資料の劣化と
  予防的保存手当て」

 木部徹氏
 (有)資料保存器材

資料の劣化の要因とその対策について具体的な症状ごとにご解説いただきました。また、実際に自分たちでできる簡便な手当てや有効な道具類についてもご紹介がありました。
 
ワークショップ
「古文書古典籍の装幀形態と料紙
  及び修補作業」

 吉野敏武氏
 宮内庁書陵部

資料の装幀と紙の材質、それに対応した修補作業等についてご説明いただき、さまざまな資料に実際に触れて学ぶことができました。
 
本講演会・ワークショップの受講には予想以上の応募があり、当日は当初の予定より多い111名もの方にご参加いただくことになりました。ご提出いただいたアンケートの結果から、講義内容は大変好評であったと考えております。また、図書室としては初めての試みでしたが、大きな混乱なく無事終了することができました。