SOLAH KHAMB MASJID

 

 このモスクは奥行は五つの間に別れ、東の正面に15の大きなアーチ形を含めて総計19の入口を開いた広い屋根を持つモスクで、その屋根の中央部には、ドラム部に支えられたドームを頂いている。ドームの南北の屋根は、礼拝室の間取りに応じた五列の多数の小ドームで飾られているが、前庭からはアーチ交差を繰り返す透かし造りのバトゥルメントにさえぎられてよく見えない。内部には3間四方の部分に大ドームがのる形となり、そのドーム移行部にはティムール朝建築に由来する交差アーチが見える。
 五間の奥行を持つ礼拝室内は、円形の太い柱でアーチが支えられているのも特徴的である。柱頭の簡単な葉状の装飾とあわせて中世南アジアのモスクの礼拝室としては珍しい造りといえよう。ただ、このモスクの名の「ソーラ・カンバ」は「16の柱」を意味するが、これは東側正面の15のアーチの入口の南北両端のものを合わせた16の柱から名付けられた俗称であろう。中央の礼拝主室は、簡単なミンバルを構えた中央の大きなミフラーブを持ち、スクインチ形のアーチで部屋を八角形とし、その上を交差アーチを用いて24の頂点を導くように造られているが、室内全体を白塗りにしているせいか装飾文様はやや簡素な印象を与える。礼拝室の横の部分と背面とはバトゥルメントを頂いてはいるがいずれも平坦で、長い裏面の中央部に屋根に登る狭い階段が設けられている。なお、このモスクの南東に接続して、タルカーシュ・マハル Tarkash Mahal の遺構が残存し、前庭には水路等の庭園の装置が散見される。(荒松雄)

 

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