MOSQUE & TOMB OF SAYYID UTHMAN

 

 墓建築の西側に造られているモスクは、その東側正面に壁を持たない列柱を見せる建造物で、その南北両端に屋上に五層を数える高く細いミーナールを配している。このミーナールは、モスク本体の両端に当たる基部から屋上の高い部位まで豊かに彫刻を施されている。礼拝室の内部は奥行五間であるが、中央の左右の二つの柱間だけにアーチが採用されている。柱はいずれも簡素な造りで文様は殆ど施されてはいない。中央のミフラーブとミンバルとは後代の補修と思われるが、他のミフラーブはヒンドゥー風の文様で囲まれている。モスクの西側背面のミフラーブの位置にはヒンドゥー、ジャイナ教神殿を思わせる彫刻が施されていて、モスク正面の両端のミーナールのそれと照応している。この突出した部分の間に設けられている窓も、また異教の建造物を思わせる造りと文様である。
 サイイド・ウスマーンの墓は、広い庭を隔てて正確にこのモスクに対応する位置に造られている。平坦な屋根の中央にやや低いが大きいドームを載せ、その周辺に8個の小ドームを配している。この中央の墓室は、シェイフ・アフマド・ハットゥーの墓廟と同じ造りで、12のアーチ連で囲まれている。この周囲を二重の回廊が取り囲むという構造で、モスクと同じく多数の列柱にはほとんど文様彫刻が施されていない。ただ、掲載した写真でわかるように、外縁部の天井内部はまことに豊かな彫刻文様で被われているのが興味がある。墓室内の中央に残る大きな墓が、このスーフィー聖者のものと推定される。(荒松雄)
 墓建築とモスクは、東西に走る同一軸線上に造られ、両者の間は40メートルほどである。墓建築は12本柱のドームではなく、一回り大きなドームを頂くために柱割が不規則になっている。この墓建築の間口柱割に対応する形でモスク建築の柱配置がなされている点は興味深い。(深見奈緒子)

 

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