MOSQUE AND TOMB OF RANI SIPARI

 

 西側に建つモスクはアフマダーバードのいくつかのモスクと似て、東側正面を壁で被わずに2本建ての柱を用い、広狭の七つの柱間をそのまま露呈した形式で、奥行は広い二間から成っている。それぞれの柱間に応じて屋根には間口3個奥行2個計6個の小ドームが載せられている。モスクの北面には窓が設けられているが、街路側に面する南面には二つの出窓が造られており、その目立った持ち送りとともに装飾が見事である。しかしながら、礼拝室の西側壁のミフラーブはこの出窓に比べると控えめな造りである。このモスクの東側正面の南北両端には細く高いミーナールが設けられているが、平坦な屋根の上に立つ三層の部分に比べてやや太めの下半分にはヒンドゥー様式を多分に残した見事な彫刻が施されていて、さきの出窓とともにアフマダーバードの建造物の特徴をよく示している。
 モスクの東側に造られている墓建築の方は、二層の高い12本柱に大きなドームを載せた中央に位置する四角平面の墓建築を、20本の柱を持つ一層の回廊が囲むかたちで造られている。この墓建築の場合も、上層下層とも屋根はかなり深い石庇を備えており、庇の上部ををバトゥルメントが取り囲むかたちの堂々たる造りである。圧巻はその基部に施された繊細なヒンドゥー風の彫刻文様と、その上部の壁面を彩るジャーリー形式の窓の彫刻で、南アジアの他の地方の建造物にはほとんどその例をみないといってもよいほどの繊細な文様を作り出している。 (荒松雄)

 

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