JAMA MASJID

 

 東側アーチ壁中央の一段と高くなった部分とその左右両側の部分は、壁体に広く高いアーチを開く入口となっており、その両側には二本の組柱で支えれた長い列柱の開口部を備えている。これらの五つの部分に応じて、屋根の上にはそれぞれ五つの持ち送り式のドームが設けられている。、その高さは中央が一際高く、両脇が続き、両端のドームは一番低い。このようにモスクの間口は五間、奥行方向には三間で、すべてで一五のドームが造られているわけである。中庭に面する中央の3個を除けば、他のドームはみな同じ高さである。
 一段高く造られている中央の部分の両端には、他のモスクと同じく多彩な彫刻を施した半円形の太いミーナールの基部が設けられていて、このモスクに威容を添えている。この二つのミーナールの上にはさらなるミーナールは掲げられてはいない。上部は円形の渦巻き文様で飾られていて、ユニークな感を与えている。これらの広く開いたアーチ形の入口からかいま見られる内部の柱列が印象的であった。
 このモスクの礼拝室の内部に入ると、先のサイイド・アーラムのモスクの場合と同じく、あたかもヒンドゥー教かジャイナ教の神殿に入ったような感を覚えさせられるほどに、その多数の柱の列に驚かされる。これらは明らかに異教の神殿をそれを利用したもので、このモスクは異教の神殿の跡にそのまま建てられものといわれる説も唱えられているほどである。ドームの天井は他の天井の部分と同じく、ヒンドゥーかジャイナ教のそれとまったく似通っている。このことはモスク内部の北端に設けれている二階建てのザナーナの部分の壁面の透かし彫り彫刻や、正面中央部分の両端の半円形の柱の部分の細部の樹木をテーマとした見事な装飾からも克明に窺われる。さきの他のもの場合と同様、この地方の熟練したヒンドゥー乃至はジャイナ教徒の技工の手になったもとみていいであろう。ただし、中央ミフラーブの装飾は、それらと比べるとやや淡白といえるかもしれない。
 これを要するにさまざまの点から、中世アフマダーバード王国の遺産である中世建築技術の粋を集めた傑出した建造物といえるのである。(荒松雄)

 

 

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