研究班5「比較史の可能性」グループでは、昨年度まで、「所有」「契約」「市場」「公正」をテーマに、6回の研究会を重ねてきました。第7回研究会は、報告者から自由に問題を提示してもらう形をとることにしましたが、3本の報告は、いずれも、私的所有権をめぐる問題に結びついています。所有をめぐる問題は、社会関係の出発点であり、その意味で、本比較史研究会の原点にもどることになります。
ご参加の方は、7月4日(水)までに5班事務局( 5jimu@ioc.u-tokyo.ac.jp またはTel.&Fax.(03)3815-9565)まで、文末の参加票にてお申し込みください。
もちろん、当日の飛び入りも歓迎いたします。
3氏の報告要旨は、以下に掲載されておりますので、ご参照下さい。
日時:2001年7月14日(土) 12:30〜18:00
場所:東京大学東洋文化研究所・3階大会議室
プログラム:
※なお、会の終了後に、東京大学近辺で懇親会を予定しております。
<趣意書にかえて>
寺田氏は、社会秩序をめぐる規範として、個から出発しその持ち分を基礎づける規範(A)と全体的利益から出発して分をわりふる規範(B)の2種類を提起する。前者から売買や市場が可能となり、後者は、公正の問題につながる。第1回「所有」研究会の趣意書にも同様の分類がみられるが、寺田氏はより敷衍し、社会秩序のあり方の根本問題として整理し、公権力や概念の絡み合いによる様々な現れ方を議論する。
白川部氏は、日本近世の質地請け戻し慣行(質に入れた土地でもほとんど無期限に
取り戻せる、つまり一時的売買)が、小農社会に不可欠であったことを提起する。この慣行は、中国の活売にあたるが、所有権の確認が中国では人的関係の連鎖に依存
していたのに対し、日本近世では、検地帳という絶対的な基準があったことを指摘する。
イスラム法では、質物の処分権は質権者(債権者)が保持し、土地をはじめ不動産の
抵当権設定(目的物を債務者が占有)は認められていなかった。質と抵当権、一時的な売買の境は微妙であり、所有権と市場の関係を測るバロメーターとなるだろう。
磯貝氏は、国家に接収されてしまった「元」私有財産の所有権の所在について、中央
アジアの法学説にもとづき検討する。相続財産に国家がどのように関与しうるのかは、国家と私的所有権の関係を考えるうえで重要な論点と思われる。
以上のような点から、研究会のタイトルを「社会のなかの所有」と名づけたが、報告や質疑の内容を所有に限定するつもりはなく、いつもどおり、縦横無尽な議論を楽しみたい。
なお、第1回研究会「所有をめぐる比較の試み」の趣意書と研究会報告(報告要旨、
討論要旨、観戦記)がホームページに掲載されていますので、あわせてご覧下さい。
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~5jimu/reports/990626-j.html
(三浦 徹)
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