| 『紀要』第141冊 |
竹内康浩 「此鼎銘文考釋一陜西省岐山縣董家村出土青銅器の研究(3)——」要旨 |
| 陜西省岐山縣董家村から出土した青銅器について検討する一連の論文の最後に当たるもので、この一群の青銅器の中で最も作器例が多い此なる人物の製作した器を中心としつつ、他の零細な器もすべてここに含めて検討を加えてみた。先立つ論稿においても述べたように、恐らくはこの一族は、財貨によって西周王朝内の支配層に入り込み、勢力を拡大していったのではないかと見られること、文献資料に言う王権の衰微とはまさにこのような流れを言うのではないかとの見通しを述べた。 |
| 『紀要』第141冊 |
大瀧幸子 「中国語動詞と形容詞とが構成する統合型の文法的意義特徴(その2)——動詞と形容詞“清楚"の結びつきを通して——」要旨 |
| 本稿は“清楚”を思考動詞と形容詞の2種類にわけるとともに、10種類の動詞(思考IⅡⅢ・知覚・言語行為IⅡ・調査・形状変化・表現・行為代動詞)との組み合わせを、12種類の統合型(VA型・V得A型・A地V型を中核として、主語・賓語・“把”構文を付加する)検討対象として、それらの統合型が成立するための条件を文の背景となる状況と述語の類型(動作行為・課程・状態)とを考慮に入れて解明することを目的とする。①知覚動詞“看”“聴”についてA地VN型では異相を表示する“到”“出”“見”などを必要とし、知覚行為のあとで対象を認知することを表すのに対し、VA的N型では当初から知覚の対象Nが特定されていて知覚できたかどうかが情報の焦点になる。②A地VO型の成立条件の一つとして具体的行為動詞に方向補語を必要とすることは、状語A地が「同一状況内の時間的経過を外から状況を俯瞰する視点によって認知している」ことを表示する。③“把”OVA了型による作為の出来事チェーンとSVOVA了型による無作為の過程チェーンの対比を通すと、「VO」形式に3種類の区別を見出せる。④思考動詞“知道”と“模糊”が重畳形AA地V型でのみ組合わさることは、思考動詞が述語類型として状態を表すがゆえに一時的描写を表示する形式と呼応することを示している。 |
| 『紀要』第141冊 |
張欣 「梅娘と「淪陥時期」北京文壇」 要旨 |
| 盧溝橋一発の銃声が華北文壇に空白時期をもたらし、大量の知識人が北京を去り、国民党支配区または共産党支配区へと赴いた。「淪陥」の地北京で梅娘は北京や「満州」の数多くの雑誌や新聞に小説や随筆を載せ、文学の翻訳にも力を尽くした。本論は梅娘がその代表者と目される「新進作家」たちを中心に考察するほか、北京文壇における新旧作家や台湾から来た文人、そして被占領下の「交流」や「日本研究」グループなどを対象に、文人の生き方に関する研究も行った。 |
| 『紀要』第141冊 |
金鳳珍 「新儒学と科学——一つの問題提起」要旨 |
| 新儒学(朱子学と陽明学)への通念的な理解にはどのような盲点があるか。この問題を説くために、新儒学と西洋科学との思想内在的な関連性を明らかにする。そのため、西洋科学の受容を、朱子学は妨げたとか、陽明学は助けたとの理解の盲点を指摘する。陽明学はもちろん朱子学も、否、朱子学こそが西洋科学との思想内在的な関連性をもつ、もちうるということを「格物窮理」の新解釈を通して証明する。朱子学は思想内在的に、西洋科学の受容を助けるはずだった。その障害要因を、あえて朱子学に還元すべきではない、ほかの要因すなわち近代文明主義や帝国主義に求めるべきだということである。科学史分野にも根深い近代主義、オリエンタリズムを暴く。 |
| 『紀要』第141冊 |
今村弘子 「中国のWT0加盟にむけて」要旨 |
| 中国は86年にWTOの前身であるGATTへの加盟申請をしたが、99年11月に米国と、2000年5月にEUとの交渉が成立し、ようやく加盟の見通しが見えてきた。それに伴って中国内の企業は外国企業との容赦ない競争にさらされることになった。とくにこれまで社会不安が起こることをために、徹底的な改革を行なうことを避けていた国有企業は、大量の失業者を伴う抜本的な改革を行なわざるを得なくなりている。業種別にみれば、大量生産に程遠く全く競争力を有さない自動車産業はもちろんのこと、一般的には競争力があるといわれている繊維業界にしても厳しい状況になろう。 |