| 『紀要』第138冊 |
大木康 「冒襄『影梅庵憶語』訳注(三)」要旨 |
| 明末清初の文人冒襄の『影梅庵憶語』全文の校訂、翻訳、注釈。『影梅庵憶語』は、早世した冒襄の側室、董小宛の思い出を綴った記録である。これはその第三部。まずは、第二部に引き続き、彼女の植物栽培の才、料理の能力について。1644年、明王朝が滅亡し、清の軍隊が江南地方にもやってくる。冒襄は家族を連れて逃げまどうが、そうした混乱の中でまた、彼女の機転が発揮された。その後、冒襄は三度にわたって大病にかかり、生死の境をさまようことになる。小宛は、そんな冒襄を必死に看病する。末尾は彼女の死が暗示的に描かれる。 |
| 『紀要』第138冊 |
金田真滋 「「中国開港期の外国商社」 要旨 |
| 一九世紀中葉の東アジアの外国商社については従来個別の商社の活動に対する研究がいくつかあったものの、全般的な姿が不明であった。これにより、当時の外国商社に対してはジャーディン・マセソン社を代表とする大商社が典型であるという、一面的なイメージが植え付けられることとなった。拙文は主に当時のディレクトリーや新聞を利用してこれに対処することを目的としている。商社数そのものが不明であったので、最初に年代的な増減を示した。次いでスタッフ数の変化や取引形態、輸出シェアの状況を調べることで、一八六○年代以前においても外国商社を全般として見る場合、あくまで中小商杜が主流であったことを論証している。 |
| 『紀要』第138冊 |
大瀧幸子 「中国語動詞と形容詞とが校正する統合型の文法的意義特徴(その一)——動詞と形容詞“清楚”の結びつきを通して——」 |
| 本稿は3種類の語義を有する形容詞“清楚"について、これまでの三稿で明らかにしてきたVA型・V得A型・A地V型の統合意義特徴と、さらに形容詞原形による判断・「很A」形による評価・「AA」形による描写という叙述の類型に関わる語義的差異を考慮したうえで、どの用法にどの語義が選択されるかという言語事実とその原因を解明することを目的とする。検討資料として、“清楚”と語義シソーラスを形成する“明白・明確・分明”“模糊・髪塗”との意義素比較資料と3種類の統合型内での相互の入れ替え調査、および思考動詞“了解・認識”との組み合わせを取り上げた。明らかにできたのは以下の点である。①形容詞と思考動詞とを分ける語義的意義特徴の構成が、三つの統合型(修飾統合型AN型と主述統合型SP型、述賓統合型VN型)の統合意義特徴との呼応のあり方に反映する。②動詞と形容詞の意義素内の格を主語の位置のN・V得・介詞の賓語Nのどれが補填するかによって、多義文の意義が一つに決定される。③VA型は動詞アスペクトレベルで平相・流相・異相内の変化を表す。V得A型は同一状況(同一の叙述時点・叙述地点)内での動作行為と変化を表す。A地V型は状況全体を出来事として判断・評価・描写の対象とする。 |
| 『紀要』第138冊 |
竹内康浩 「洛陽出土伝世品青銅器研究(一)」要旨 |
| 西周王朝の統治政策の実態を知るうえで、彼らが建設した成周について検討することは極めて大きい意味を持つ。かねてより、成周(洛陽)から出土したとされる青銅器が多数存在し、それらが成周研究にとって重要な意味を持つものであることは言を竣たない。しかしながら中には必ずしもデータが信頼できないものもあって、その検討作業が必要である。本稿は、成周(洛陽)出土とのデータを持つ青銅器のうち、いわゆる伝世晶を対象としたものであり、著録からそれらを拾い集め、一件一件そのデータに検討を加えて信頼性を確かめ、選別を試みた。 |