| 『紀要』第133冊 |
影山輝國 漢代「順気行罰」考 要旨 |
| 漢代の刑罰は「謀反」などの大罪以外、おおむね秋冬に試行され、春夏には行われなかった。東漢時代はこれを「順気行罰」あるいは「順時之法」と呼んだ。「気」とはすなわち陰陽二気、「時」とは春夏秋冬四時のことである。当時の人々は、四時の循環は陰陽二気の盛衰によって起こり、春夏は陽気が盛んで「生(うまれる)長(そだつ)」の季節であり、秋冬は陰気が盛んで「殺(ころす)蔵(かくす)」の季節だと考えていた。したがって、春夏に死刑その他の刑罰を執行するのは天の時に悖る行為となる。この天人感応的時令思想は漢代以前にすでに見られるが、この思想に基づいて実際に順気行罰が行われたのは何時からか、漢代の実施状況はどのようなものであったか。本論はこれらの問題を具体的に検討したものである。 |
| 『紀要』第133冊 |
廣瀬玲子 「小説と歴史——魯迅『中国小説史略』試論——」 要旨 |
| 本稿は・魯迅による「小説史」を読むことによって、中国において近代的な意味での文学」としての「小説」概念が、古来の“価値の低い「歴史」”としての「小説」概念を切り離すことによって成立していることを明らかにする。また、「歴史」から「小説」への進化として語られる小説の歴史が、かえって叙述としての「歴史」と「小説」との同質性を露にしていることを指摘する。 |