『紀要』第131冊要旨


『紀要』第131冊 前川亨 「『支那革命外史』からみた中国革命と日本ファシズム ——アジア民族主義革命の理念と現実——」要旨
『紀要』第131冊

前川亨 「『支那革命外史』からみた中国革命と日本ファシズム ——アジア民族主義革命の理念と現実——」要旨

 北一輝の生涯における分岐点は辛亥革命への参加であった。処女作『国体論及び純正社会主義』にはまだファシストの主張は表れない。中国革命が、アジアの現実への彼の理解に深刻な刻印を与えたのである。彼の第二の著作『支那革命外史』は彼の顕著な変容を示す。我々はまず、革命人士たちとの彼の関わりの検討によって、中国革命の現状への彼の認識を明らかする。次に我々は、『支那革命外史』における北のアジア主義と黄禍論との関係を分析する。北のアジア主義は黄禍論の意味転換によって形成された。北の立場は、日本と中国を黄禍の実体とみる攻撃的な黄禍論であり、中国民族主義と日本国家主義との結合であった。我々は第三に、北の思想と中国革命の人種的・民族的なイデオロギーとの繋がりに注目する。そのイデオロギーを受容することによって、北は、彼の最初の著作とは逆の地点に到達したのである。
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『紀要』第131冊 大瀧幸子 「判断形容詞と動詞とが組み合わさった統合型の統合意義特徴の分析」要旨
『紀要』第131冊

大瀧幸子 「判断形容詞と動詞とが組み合わさった統合型の統合意義特徴の分析」要旨

本稿は4対の形状を表す単音節形容詞をとりあげ、「反義語ペアをそれぞれ同じ統合型のなかに同じ動詞と組み合わせて挿入した場合に一方しか使うことが出来ない」という言語現象を文法論・意味論両面から解明することを目的とする。意義素論の立場から判断形容詞の意義素の内部構造を検討しつつ、名詞(N)との格関係を考慮に入れて「NVA了」(従来のVA型を基本とする)のほかに「VA了N」の統合型の用法を検討対象として、以下の点を明らかにした。①NVA了型の主語の位置にある名詞は、動詞内の格を補填するほか、動詞が指示する現象素内の流相から異相にかけて変化する「道具・スペース・身体部位」を表示することがある。②VA了N型では賓酷の位置にある冬詞の弁別的意義特徴が統合を支配する。すなわち社会通念としてその物体はある動作を受けやすく、ある形状への変化が問題視されると認知されている場合に限り、統合が成立する。③Nが動詞の生産物格または特定の受け手格を補填している場合、VA了N型は原則として「(常識としての、または文脈からの)適正基準を逸脱した過分義」を表示・指示する。過分義を含まない単純な結果は「V了A(很A的)N」型、「把NVA了」型で表示する。④VAN型は文として言い切ることが出来ず、動作主主語をとることにより有意思の行為を開始することを表す。
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『紀要』第131冊 丸尾常喜「談魯迅的文学(演講二篇)」要旨
『紀要』第131冊

丸尾常喜「談魯迅的文学(演講二篇)」要旨

本論は筆者が1996年春に北京、天津、上海の大学、研究機関で行なった講演2篇で構成される。「関干魯迅的“恥辱”意識」(魯迅の「恥辱」意識について)は、小説「狂人日記」に見られる恥辱の意識が留学期の作品から「五四」時期の作品に一貫して見られるもので、魯迅個人の恥意識と民族的恥辱感の統合されたものであることを明らかにし、「魯迅:“人”与“鬼”」(魯迅:「人」と「鬼」)は、魯迅文学に、民族の精神的遺伝すなわち負の国民性を象徴する「鬼」と伝統的、民俗的な「鬼」(特に「孤魂野鬼」)との統合的な
認識が存在すること、その文学の基礎に「鬼から人へ」というテーマの存在することを指摘する。
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