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第46回東文研・ASNET共催セミナー「復興支援ツーリズムの可能性」

  • 報告

【報告】第46回東文研・ASNET共催セミナー
「復興支援ツーリズムの可能性」

第46回東文研・ASNET共催セミナーが2012年3月8日(木)に開催されました。
以下、報告させていただきます。

日時:2012年3月8日(木)17:00-18:30
場所:東京大学東洋文化研究所 大会議室
報告者:大森信治郎氏(石巻専修大学経営学部 特命教授)

【開催報告】
 東日本大震災の大津波から大きな被害を受けた宮城県石巻市は、現在、復興途上にあります。大森信治郎先生は、専門とするツーリズムの観点から復興に関わってこられました。報告では、まず石巻の被災状況について、写真と統計を用いつつ、大森先生ご自身の被災体験も交えて説明されました。続いて、復旧・復興の段階を4期に分類し、時間の経過につれて、被災者の心理、被災地を訪れる来訪者の性格が推移してきたことが示されました。被災直後の緊張感が薄れるにつれ、被災者の要求は多様化し、来訪者(ボランティア)の意識も多様化していきます。より多くのボランティアが被災地に訪れるようにするためには、観光とボランティア活動を組み合わせた「ボランティア・ツーリズム」も重要になってくるでしょう。また瓦礫除去をはじめとする復興・復旧の工事関係者が引き上げた後、観光客を呼び込むことは地域経済にとっても重要な意味を持ってきます。しかし、単に観光客を呼び込むのではなく、震災と復興に結び付けるためには、訪問者が弔意を表す場を整備する必要もあるでしょう。また防災研修のような形で、震災の教訓を生かす仕組みも必要でしょう。現地の事情を知るということは、復興に長期的視点で関わることにつながります。このような広い意味でのツーリズムを復興につなげていく上で「復興支援ツーリズム」の可能性について語られた後、今後とも継続的に支援していくことの必要性を述べられました。[池本幸生]