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【第68回】 他力思想への視座~植木等のスーダラ節

  • 共催セミナー

以下の通り、第68回目の東文研・ASNET共催セミナーを開催しました。

【日 時】  2013年 5月16日(木) 17:00-18:00
【会 場】  東京大学 東洋文化研究所 1階 ロビー
【報告者】  山本伸裕 (東京大学 特任研究員)
【題 名】  他力思想への視座~植木等のスーダラ節

【報告要旨】
高度経済成長期を象徴する歌手、俳優、コメディアンである植木等(1926 – 2007)が、一躍、茶の間の人気者として、その名を広く知られるようになったきっかけは、1961年にリリースされた「スーダラ節」の大ヒットにあった。

植木等は親鸞を宗祖とする真宗の僧侶の子として生まれ、自身、真宗大谷派に僧籍を有する僧侶でもあったが、芸能活動のなかで、彼のそうしたバックボーンがどのような意味をもっていたかということについては、これまであまり深く語られることがなかった。

植木等の父で、熱烈な親鸞主義者でもあった植木徹誠(てつじょう)は、「スーダラ節」の一節、「わかっちゃいるけどやめられない」を、まさに親鸞の思想であると喝破した。それ以降、植木等の芸能活動は、大きな波に乗っていくわけだが、そこには随所に、明らかに親鸞の他力思想に通じるメッセージが埋め込まれている。

本セミナーでは、高度経済成長期の日本人を虜にし、いまだに輝きを放ち続ける植木等が表現しようとしたものは何だったのかについて考えるためのいくつかの手がかりを提示したい。

「わかっちゃいるけどやめられない」「おれはこの世で一番無責任といわれた男」という「ゆるい」言葉の背後に、仏教思想の無限の広がりがある可能性が見えました。

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