| おしらせ |
東洋文化研究所は、本年夏、安田弘氏よりその祖父安田善次郎氏が収集された「安田文庫」旧蔵の貴重な古籍11点の寄贈を受けました。安田講堂の寄贈者でもある安田家ゆかりの品が、このたびまた東京大学、なかでも数多くの漢籍を蔵し、その整理と保存に力を注いできた東洋文化研究所に収蔵されたことは、とりわけ意義深いことです。
今回寄贈を受けた古籍は、
a) 正平版『論語』3点(14世紀南北朝時代)。
b) 同系統復刻本『論語』6点(15-16世紀室町時代〜江戸時代)。
c) 南宋刊本『佛果円悟真覚禅師心要』1点。
d) 南宋刊本『儀礼経傳通解』第十七卷残本(昌平坂学問所旧蔵)1点。
の11点。なかでも圧巻は、(a)(b) 類の正平版『論語』合計9点です。正平版『論語』は、日本で最初期の木版印刷の書籍であるとともに、唐代における『論語』の姿を伝えるテキストとして、今日でもきわめて珍重されているテキストです。このたび寄贈を受けた「単跋早印本」は、直江兼続の旧蔵にかかるものであり、保存状態の良好さもあって、正平版『論語』のうちでもとびきりの善本に属するものです。
東洋文化研究所では、今後これらの書物を特別貴重書に定めて大切に保存する一方、研究者の利用に供するためのデジタル画像化などの処置をしたいと考えております。また、安田弘氏に深く感謝の意を表すとともに、広く内外の研究者への公開をはかるため、記念展示会等の行事も計画中です。
なお、今回寄贈を受けたそれぞれの書物についての紹介は、最新の当研究所東洋学研究情報センター刊『明日の東洋学』第12号(10月31日)に、橋本秀美氏の文章がありますのでご参照いただければ幸いです。
正平本『論語』:「単跋早印本」
(14世紀南北朝時代刊)
同書の序文部分
「米沢蔵書」印があり、直江兼続旧藏のものと知られる。