ATALA MASJID/JAUNPUR

 

ジョゥンプル残存のモスク群の特徴を示す壮大なアーチを持つ全面中央のパイロンは、デリーのベーガムプーリー・マスジッドのそれの影響だとする説が有力だが、壁がんの存在や壁面の傾斜、梁や柱やその他の形態、構造のさまざまな点で、デリーの建造物造営の歴史に大きな影響をもたらしたトゥグルク朝のスルターン・ムハンマド・シャーやフィーローズ・シャの治世に造られたモスクや墓建築その他の様相が窺える。このことは、デリーの同時代の多数のヒンドゥー、ムスリム技工たちが造営に加わったとする推説とともに、このモスクがいわばモデルとなり、以下に紹介する「ジョゥンプル・スタイル」と呼ぶに値するほどの他のモスクにも当てはまることをあらかじめ記しておく。ただし、このジョゥンプルの諸種の建造物の場合も、デリーの影響ばかりでなく、他の地方と同じくこのガンガー中流域の地方における建築と美術工芸の伝統が濃く現われていて、デリーのそれを抜きんでている点も多いことを忘れてはならない。このアタラー・マスジドの場合には、正室の壮大なパイロンとともに、大小三つのドームや西側背面の構造と様式、また礼拝主室のミフラーブその他の装飾やザナーナと思われる階上部分など、さらには二層をなす回廊部などさまざまな点に、ジョゥンプル独特の特徴が窺われる点を強調しておきたい。(荒松雄)

 

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