2.GOL GUMBAZ


 南アジア最大のこの壮大な墓建築の形態と構造とはきわめて単純なもので、巨大なドームを支える四角な墓室と、その四隅に付設された七層のそれぞれの層にアーチ形の入口を開くかなり太めのミーナールとから成っている。しかしながら、その壮大な規模にもかかわらず、この建造物では内部の細部にわたって繊細な装飾が施されている点はとかく見逃されがちで、私はとくに強調しておきたい。ここでは紹介できないが、それについてはH・カズンスの著書に付せられた図版からも容易に知ることができる。
 ところで、この著名な遺跡でさらに強調されるべきは、世界の建造物のなかでも珍しいその広い墓室を支える広大なドームを創りだした当代におけるその技術のすぐれた点である。すでに触れたように、ビジャープルのアーディル・シャーヒー朝の一時期には巨大な墓建築を営むことが一種の流行のようになったのであるが、その建造物の壮大な規模とともにその造営を可能とし、今日に至るまでその建造物の存続を続けさせてきた建築技術の水準の高さは、南アジア史上で特記される価値があると信じる。私自身この巨大な建造物を目の当たりにした者の一人として、とくにその点をも強調しておきたい。なお、この巨大な墓建築の西側には、高いドームを掲げ、表面の両端に細いミーナールを備えた、五つのアーチ形の入口を持つモスクが造られていることを付け加えておく。(荒松雄)

 

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