MOSQUE OF MUHAFIZ KHAN

 

 東側正面の両端にあるミーナールは、モスク全体の規模からみるとやや太い感じがするが、完全な形で残っている珍しい例の一つである。屋根上に聳える部分は円形断面とし、頂部にピラミッド形の小ドームを冠し、塔身に二層のバルコニーを備えている。その造りも文様もきわめて豊かで、モスク本体の両隅を区切るミーナールの下半分の部分に施された繊細な彫刻文様とともに、ヒンドゥー、ジャイナ神殿のそれを思わせる特徴を示している。
 このモスクは、キブラ壁側の天井の低い一間と入口側の天井の高い他の二間の合わせて三間の奥行を持つ。間口は五間で、中央の三間は天井が高く両端は天井が低く、それに応じた五つのミフラーブを備えている。礼拝室内部はヒンドゥー様式を思わせる高い柱が吹き抜けの天井を支えるかたちで、7個の小ドームを冠している。このモスクの礼拝室内部の特徴は、柱と天井とのあいだの豊かな彫刻文様であるが、西側のミフラーブを飾る豊かな彫刻文様は一風変わったもので、とくに中央ミフラーブの際立っている。この独特な彫刻文様はヒンドゥー風の造りとともに、礼拝室内のミンバルや、モスクの正面東側のアーチ上部の出窓や建物の南北両側面の出窓にもよくうかがわれるところである。
 モスクの本体の北東にやや離れて造られている墓建築は、中央のドームを四隅のドームが囲むかたちで、他の部分は平坦な屋根を頂く。壁やスクリーンをまったく持たない16本の柱によってのみ造られた奥行、間口とも三間の四角平面の建造物である。この墓建築の床面には多くの墓石が残っているが、モスクを創建した主人公のそれがどれであるかは不明である。
(荒松雄)

 

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