MOSQUE & TOMB OF BIBI ACHUT KUKI

 

 このモスクの正面は中央アーチの両端に円形のミーナールを備えるというグジャラート・スタイルのモスクの一典型を示しており、その両側にはそれぞれ一つのアーチ形入口が開かれている。この二本のミーナールは上方の部分が崩落してしまっているが、下部の豊かな装飾文様といい、上部のバルコニーとそれを支える部分といい、ヒンドゥーとムスリムの両方の様式が混在して美しい造りとなっている。
 このミーナールによって区切られた中央部は両端部より一段と高く造られている。この部分は二層に柱を重ねて吹きぬけドームを掲げている。その左右の部屋はそれぞれ、一層の12本柱式の中央ドームを冠しており、各々の大ドームを小さいドームが囲む形を採っている。これらのドームの内部の天井の部分はヒンドゥー・ジャイナ様式の装飾文様で彩られており、中央ミフラーブもまた複雑な様式の彫刻や文様で飾られていて、グジャラートのモスクの内部の派手な礼拝室内独特の雰囲気をかもし出している。
 この遺跡はかなり広い囲壁に囲まれているが、墓建築の方はその北東の部分に立っており、中央部には堂々たる半円に近いドームを頂く。この部分は、グジャラートの定形どおり12本柱からなる一段と高い中央の建造物を20本の柱の廻廊が取り囲むという、ラーニー・スィーブリーの墓建築やラーニー・ルーパウァティーの墓建築と共通する墓廟である。なお、廻廊部にはそれぞれ隅と中央、計8個の小ドームを頂いている。モスクにくらべると、この墓建築には目立った彫刻や文様は施されてはいない。この墓建築の中央の部分にはいくつかの墓石が残っているが、この墓建築の俗称となっている女性主人公のものがどれであるかは判らないという。モスクの近くの地上に残る墓がそれであるという説もあるという。(荒松雄)

 

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