イスラーム地域研究5班
研究会報告

第3回「回儒の著作研究会」研究会報告

第3回「回儒の著作研究会」報告

日時・場所 7月3日(土)13:30〜  東京大学文学部アネックス


 第3回の研究会では、前回に引き続き劉智の『天方性理』について以下の部分を 取り上げ、読解を進めた。

  1.「図伝第1章第4節」発表・翻訳担当 松下道信(東京大学大学院 博士課程)
  2.「図伝第1章第5節」発表・翻訳担当 青木 隆(東京大学大学院 博士課程)

「1.」 では、前回で取り上げた「最初無称図」をさらに6段階にわけた図説の中、 その第3段階にあたる「体用始分図」を取り上げ読解を進めた。この際、劉智の流出論的世界観におけるこの段階が、ワフダ・アルウジュード(存在一性論)派における「個別的本質の規定」の第二段階にあたる可能性が高いとの指摘があった。また、この図説で論じられる「美しさ」「尊さ」は、イスラームにおいて神の属性であるJama^lとJala^lに相当するとの指摘も見られた。

「2.」 では、「最初無称図」を6段階にわけた図説の中、その第4段階にあたる 「真理流行図説」を取り上げ、読解を進めた。読解を進める際に、この段階において出現する「主宰」「真宰」「首品」のいずれかが「完全人間」にあたるのではないかとの指摘があったが、現状ではいずれにあたるかを確定することは非常に困難であると判断されたため、今後読解を進める中でその確定を行うことが課題となった。

(文責・黒岩 高)


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