イスラーム地域研究5班
研究会報告

cグループ「回儒の著作」研究会第16回例会報告

日時 : 2001年12月8日(土) 14:00〜17:00
場所 : 東京大学文学部アネックス・小会議室
発表者・題目 :『天方性理』図伝・巻五「一息終古図説」
      青木隆(東京大学大学院博士課程)

 今回は『天方性理』図伝・巻五の第十節である「一息終古図説」を読み進めた。 読解の要約は以下の通り。
 本節は次節である終古一息図説と対になる。前節の小中見大図説、大中見小図説が空間の相対性を述べたのに対し、本節と次節は時間的なそれに ついて説かれる。
 まず一息とは最も短い時間の単位であるという定義がなされ、その内に終古という最も長い時間が内包されることを説く。そしてこの一息は我の ものではなく、我と主の一息であり、我と主との関係において、我だけが見え主は見えない、主だけが見え我は見えない、我も主も見えないという 三つの事態があることが説かれる。
 問題点としては「一息之中有出有入」とあり、出入する例として、先天と後天、無量無数と一、有色有妙と無色無妙、有所と無所、無始無終と有 始有終、無浄無穢と有浄有穢、有門と無門などが挙がっているが、それらが一息から出入するのか、それとも一息の中に出入する事態があるのか判 然としない。

(文責:佐藤 実)


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