イスラーム地域研究5班
研究会案内

a グループ「知識と社会」研究会第 4 回研究会のご案内

 研究会「知識と社会」では、第 4 回の研究会を以下の要領で開催します。日程調整の都合上、やむをえず日曜日の開催となります。どうかお許し下さい。
 今回の発表テーマは、これまでの 3 回とはうってかわって「現代物」です。発表者子島さんがこれまでの議論を踏まえながら、研究会に新たな風を吹き込んでくださるものと愚考いたします。
 東京以外にご在住の方でご参加の意向をお持ちの方は、お早めに森本一夫(morikazu@ioc.u-tokyo.ac.jp )までご連絡下さい。


発表者: 子島 進(国立民族学博物館・外来研究員)

論題 : 「読み書き能力の向上と宗派アイデンティティの変容
         ―パキスタン北部、イスマーイール派の事例から―」

日時 : 2000 年 5 月 28 日(日)13:45〜16:15
       (発表 1 時間 20 分、討論 1 時間)

場所 : 東京大学東洋文化研究所・3 階第 1 会議室
       (いつもいつも、同じところで申し訳ありません)
発表要旨:
 ムスリム社会のほぼ全域で、読み書き能力の浸透が大きな社会変化をもたらしている。読み書き能力の獲得とそこから生み出される社会的活動が、今後の「イスラーム復興」の動向を探るうえで、重要な位置を占めることは間違いない。
 パキスタン北部のイスマーイール派もまた、読み書き能力の獲得によって、劇的な変化を遂げた例として特筆される。その変容は、血統・神秘主義的知識を重んじるピールから、「草の根の NGO 活動」を担う若い世代への、リーダーシップの交代に端的に表現されている。これら若い世代の台頭は、「開発プログラムのプリンス」アーガー・ハーン四世(第 49 代イマーム)が再創造するイマーム像と密接に結びついた形で、宗派アイデンティティを再構築するものとなっている。
 開発言説という「知識」を駆使することによって、現代のイスマーイール派がいかなる変容を遂げつつあるのかを、イマーム位とローカル・コミュニティの両面から考察する。


戻る