主任:菅豊
民俗学は近代という時代状況のなかで生まれ、それに強く拘束されてきたことが大きな特徴である。さらに、その時代状況のなかで、世界の至る所で「いくつもの民俗学」が勃興してきたことが、もう一つの特徴となっている。民俗学は、それぞれの国家や地域おいて、それぞれ異なる近代的状況に拘束されて生まれた「ヴァナキュラー(vernacular)」な文化の理解とその復興運動、そして、その運動を自己で学問化した運動なのである。
本研究では、世界各国の「民俗学」の方法や対象、ジャンル、目的、歴史的発展を比較検討することにより、民俗学という学問運動の現在的な可能性を考究する。さらに、世界の民俗学における、東アジアの民俗学の特徴と、その特徴を生み出した要因について精察する。
南 根 祐 韓国「民俗学」と植民地主義および民族主義
中 野 泰 ポストコロニアル時代の韓国「民俗学」発展史
岩 本 通 弥 表象としての日本・韓国「民俗学」
菅 豊 表象としての日本・中国「民俗学」
周 星 中国「民俗学」の形成史
田 村 和 彦 中国「民俗学」と国家の関係
門 田 岳 久 ヨーロッパ「民俗学」のアジアへの影響
陳 志 勤 中国「民俗学」と文化政策
西 村 真志葉 中国「民俗学」の方法
小長谷 英 代 アメリカ「民俗学」における東アジア研究
平 山 美 雪 アメリカ「民俗学」におけるアジア文化の表象