ASNET -東京大学 日本・アジアに関する教育研究ネットワーク--

自著を語る

人類の幸福論:貧しくても幸せな人と裕福でも不満な人

キャロル・グラハム(著),‎ 猪口孝(訳)

猪口孝『人類の幸福論』を語る

キャロル・グラハム博士はブルッキングズ研究所の上級研究員で、メアリランド大学教授でもある。私は「生活の質 QOL」研究の会議でグラハム博士と一緒だったこともあり、欧米だけでなく、アジア、アフリカ、ラテンアメリカにおける生活の質について研究を進めていることで、アジア・バロメータ・世論調査で「生活の質」をアジア三十二カ国について世論調査データで分析を重ねてきた私と関心を共有している。グラハム博士の本のポイントは表紙カバーの質問に答えようとした分析である。「貧しくても幸せな人と裕福でも不満な人」がいるのはなぜだろうか。所得格差が世界的に大きくなっている現在、人がしあわせなのか、どんなライフスタイルがしあわせをもたらすのか、が重要な関心事になっている。心理学、経済学、社会学、政治学、地理学、人類学などの分野からアジアのこれからに関心ある方にも、かならずや、興味深い分析知見をみつけることは間違いない。

キャロル・グラハム著、猪口孝訳
西村書店、2017年7月刊
http://www.nishimurashoten.co.jp/book/archives/9006