猪口孝『Trust with Asian Characteristics』と『Exit, Voice and Loyalty in Asia Individual Choice under 32 Asian Societal Umbrellas』を語る
アジア・バロメーター世論調査は21世紀初頭に、アジア32カ国(東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、とその周辺国である米国、ロシア、オーストラリア)で、総計5万2千余りの市民に、国別にそれぞれサンプルサイズが1000・3000、ランダムサンプリングで抽出、面接で回答を得る方法で、「生活の質」を軸にした大規模世論調査である。世界でも初めての試みで今日に至るまで唯一の世論調査である。上記学術研究書は順にそれぞれ、「信頼」(2017)、「退出・抗議・忠誠」(2017)、「生活の質」(2013)、「幸福」(2009)という概念を巡って分析したものである。
今年刊行された「信頼」は多様性、複雑性のアジアで「信頼」がどのように使われているか、どのような文化的社会的経済的政治的基盤の上に立っているかを中に分析した。特に日本社会で「信頼」が医療、病院、健康をめぐって使われているかの分析を施した。
「退出・抗議・忠誠」は組織の質低下を目にして所属している個人が退出するか、抗議するか、忠誠を保持するかの選択肢のどれをとるかについて回答してもらった。その分析を国別ごとに、加えて日本、中国、インド、ロシア、オーストラリア、米国の6カ国の比較分析を行った。いずれもユニークな経験的データを使って、統計分析を駆使したものである。
Inoguchi, Takashi and Yasuharu Tokuda, eds., Trust with Asian Characteristics: Interpersonal and Institutional, Dordrecht: Springer, 2017.
http://www.springer.com/jp/book/9789811023040
Inoguchi, Takashi, Exit, Voice and Loyalty in Asia: Individual Choice under 32 Asian Societal Umbrellas, Dordrecht: Springer, 2017.
http://www.springer.com/jp/book/9789811047220
Inoguchi, Takashi and Seiji Fujii, The Quality of Life in Asia: A Comparison of Quality of Life in Asia, Dordrecht: Springer, 2013.
http://www.springer.com/jp/book/9789048190713
Shin, Doh Chull and Takashi Inoguchi, eds., The Quality of Life in Confucian Asia: From Physical Welfare to Subjective Well-Being, Dordrecht: Springer, 2009.
http://www.springer.com/jp/book/9789048134823