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◇ No.51 (2015/6/5)
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今井宏平『中東秩序をめぐる現代トルコ外交―平和と安定の模索』を語る
「アラブの春」という一時のユーフォリアの後、中東の秩序はシリア内戦や「イスラーム国」の台頭で見る
影もなくなってしまった。それは、「ゼロ・プロブレム」外交を掲げ、中東地域の秩序安定化に努めてきた
トルコの試みが失敗に終わったことも意味していた。
2006年から2011年までトルコに留学し、トルコの地域秩序安定化の試みとそのダイナミックな外交に魅了
された筆者にとって、それは残念な結末であった。しかし、中東の「周縁」部に位置し、非アラブ諸国である
トルコが、その中東秩序の安定化の試みを軸に現在では中東の「中心」的なアクターとして見なされるように
なった事実は見逃せない。
トルコの秩序安定化の試みとは、どのような考えであり、政策だったのか。本書はこの問いに答えるべく、
ポスト冷戦期のトルコの中東地域に対する外交に焦点を当て、構造的リアリズムとリベラリズムの視覚から
分析した研究である。
ミネルヴァ書房 2015年2月
http://www.minervashobo.co.jp/book/b190333.html