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◇ No.56 (2015/8/28)
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小池求『20世紀初頭の清朝とドイツ――多元的国際環境下の双方向性―』を語る
近代における清朝と外国との関係に対してどのようなイメージを持っているだろうか。
不平等条約に基づき、列強が能動者、清朝が受動者という構図が浮かんでくるだろうか。
本書は、そのような関係性を特徴付けてきた英米日露ではなく、ヨーロッパの大国でありながら、
東アジアにおいては影響力を持つことができないというギャップを持っていたドイツと清朝との関係から
その構図を再検討しようとした。清独両国をそれぞれアクターとして設定し、「交流」「政治」「通商」
という3つの領域において、両国が「何をしようした」だけではなく、相手側の目線から「何ができた/
できなかったのか」という両国関係の双方向性に注目した。そして、ヨーロッパと東アジア情勢が連動
する国際環境下において、各領域での清独関係がそれぞれ異なる特徴を有しながらも、それらが相互に
影響し合い、清独協調に収斂していった過程を描き出した。
勁草書房、2015年1月
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b186363.html