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◇ No.57 (2015/9/11)
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井上真『Multi-level Forest Governance in Asia:
Concepts, Challenges and the Way Forward』を語る
かつては一律に木材伐採や造林を推進してきたアジア諸国の集権的な森林政策は、1970年代末から
地方分権的な住民参加型森林管理へと移行してきた。このような実践や政策の理論的支柱となってきた
のが、オストロム氏(2009年ノーベル経済学賞)らによって主導されてきた「コモンズ論」である。
「市場」や「政府」ばかりではなく、世界の数多くのフィールド実態に基づいて「コミュニティ」の
役割に光を当て、資源管理制度の「設計原則」などが提示されてきた。その議論は地域資源を地元の
人々が利用し管理することを前提としたものであるが、外部との連携も「入れ子の組織」や「多層構造を
もつ関係性」として重要性が指摘されてきた。
本書では、アジアのほぼすべての国の森林ガバナンスの多様性を描きつつ、外部との連携のあり方を示す
概念である「協治」について批判的に検討し、森林ガバナンスの特性を整理した。
本書の内容は2011年10月14日(金)に国際森林環境学研究室とASNETが共催した国際ワークショップでの
成果を基にしている。
Makoto Inoue and Ganesh P. Shivakoti (Eds), SAGE Publications India
Pvt Ltd, July 2015.
http://www.sagepub.in/books/Book246161