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◇ No.58 (2015/9/25)
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鈴木正崇『アジアの文化遺産―過去・現在・未来』を語る
本書は、文化遺産や文化財をめぐる諸問題を、歴史・宗教・社会・文化・民族・政治・経済・観光など
多様な視点から考察した論集である。
2015年は日本がユネスコに推薦した『明治日本の産業革命遺産』の世界遺産登録をめぐって、日本と
韓国の歴史認識の違いが浮かび上がり、政治や外交の問題へと発展した。世界遺産や無形文化遺産は
過去の遺物とは異なり、現在の生きている人々の生活実践に関わり、過去から受け継がれ、現在を生き、
未来へと継承され、時代を越えて微妙に変化して維持されていく。
本書は有形・無形の文化遺産を、単に保護・保存・維持・修復するのではなく、どのようにつきあい、
活用し、未来に託すかが問われるという観点から考察し、「生きている遺産」として人類史の中に
位置付けることを意図した。
鈴木正崇(編)『アジアの文化遺産―過去・現在・未来』
慶應義塾大学出版会 2015年8月20日刊。
https://www.keio-up.co.jp/np/detail_contents.do?goods_id=3035