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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 我が国の対アフリカ平和の定着支援

[場所] 
[年月日] 2006年2月
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 我が国は、2003年の第3回アフリカ開発会議(TICAD III)以降、「人間中心の開発」、「経済成長を通じた貧困削減」と共に、「平和の定着」を対アフリカ支援の3本柱の一つと位置付け、アフリカによる自助努力(オーナーシップ)と国際社会によるパートナーシップを基本理念としつつ、具体的な行動をもって支援を行ってきている。

1.基本理念

(1)アフリカの自助努力の尊重・慫慂

 紛争後の国づくりの成功のためには、政府、地域社会それぞれの自助努力の発揮が不可欠。このような自助努力を尊重、慫慂し、それが最大限に発揮されるような形で支援を行う。

(2)国際社会のパートナーシップの強化

 紛争後の復興・開発にかかる複雑な状況に有効に対応するためには、当事国と開発パートナーとの間の効果的な連携・調整が必要。我が国もそれを支持し、その促進に貢献。

2.これまでの取り組み

(1)我が国は平和の定着分野での対アフリカ支援を着実に実施しており、2003−2005年の支援実績は3億5,000万ドル以上。これには、2005年3月に実施したアフリカ14ヵ国に対する総額約6,000万ドルの支援パッケージや、2005年4月に表明し同年中にその約7割の使途を決定し実施中の、当面1億ドルの対スーダン支援が含まれる。

(2)これに加え、同期間(国連予算2003/2004年度及び2004/2005年度)には、アフリカに展開する国連PKOの活動を支援するため、9億2,000万ドルの貢献(国連PKO分担金)。特に、スーダンPKO(UNMIS)については、人的貢献に加え、同ミッションに参画するアフリカ諸国が利用するための物資協力も実施。

(3)さらに我が国は、アフリカの紛争が全体として減少傾向にある好機を捉え、2005年7月のグレンイーグルズ・サミットの機会に、平和の定着分野での対アフリカ支援の拡充を表明。

3.新たなイニシアティブ

 グレンイーグルズ・サミットの機会に発表したアフリカの平和の定着のための支援拡充を具体化する観点から、我が国は以下の措置をとる。

(1)平和の定着が特に重大な課題となっているスーダン、大湖地域、西アフリカを中心に、DDRや小型武器対策、政治ガバナンス強化、国民和解、難民・国内避難民の帰還・再統合促進、人間の安全保障を重視したコミュニティ開発(水・衛生・教育分野等)等のための資金協力及び技術協力を積極的に行う。その一環としてまず、3月末までに、6,000万ドルを目途とする支援を実施する。このような取組を進めるに当たり、アフリカ連合(AU)、地域経済共同体(RECs)、国際機関、さらに、現地に密着してきめ細かな活動を行っているNGOとの連携を引き続き重視する。また、アジア・アフリカでの平和の定着経験の共有を図るための取り組みを進める。

(2)平和の定着支援に係る国際的な連携・調整の促進に向けて、国連平和構築委員会の活動に対して、日本のこれまでの平和構築における経験を踏まえ、包括的かつ積極的な役割を果たしていく。

(3)アフリカに展開する国連PKOの活動経費の約2割を負担(国連予算2005/2006年度に7億5,000万ドル以上)。