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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8ラクイラ・サミットにおけるG8-アフリカ・セッション共同議長総括(第35回ラクイラ主要国首脳会議‐G8サミット)

[場所] ラクイア
[年月日] 2009年7月10日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.G8各国・政府の首脳、アルジェリア、エジプト、ナイジェリア、セネガル、南アフリカ及びアンゴラ各国・政府の首脳、AU議長(リビア指導者)、AU委員長、NEPAD実施委員会議長(エチオピア首相)は、2009年7月10日にラクイラで開催されたG8サミットのアフリカ関連部分において会合を行った。

2.パートナーシップの枠組みにおいて実施されてきた相互のコミットメントを想起しつつ、彼らは、特にNEPADを通じて確立した共通原則、目標及び優先課題を追求しつつ、また過去のG8サミットで採択された決定と方向性に沿って、G8‐アフリカ対話を強化することを歓迎した。彼らは、第12回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)の結論とその改革に向けた提案を歓迎した。

3.G8及びアフリカのパートナーは、相互の説明責任と尊敬に基づき、共通の利益のためにパートナーシップを強化し続ける重要性について合意した。この精神の下で、G8及びアフリカのパートナーは、会合の議題にある、現在の国際的な文脈のためアフリカと特に関係のある問題について検討した。首脳は、

・経済・金融危機が最貧層に最も強い打撃を与え、保健及び飢餓と貧困の根絶において達成された進展を危機にさらしかねないことについて合意した。首脳は、成長を回復し、最も脆弱な層を保護するため、迅速に行動することの必要性を強調した。G8諸国は、グレンイーグルズ及びより最近ではG20ロンドン・サミットでなされたものも含め、良い統治を促進し、ミレニアム開発目標を達成するためのアフリカの努力を支援するというコミットメントを改めて表明した。

・アフリカに対する気候変動の影響について議論し、開発途上国の具体的な懸念が、コペンハーゲンでの国連の会議において達成される予定の合意において適切に取り組まれることを確保する必要性について合意した。彼らは、特にコンゴ盆地の森林被覆を保護し、エネルギーへのアクセスについて取り組むことの重要性を想起した。

・平和と安全を促進するというコミットメントを再確認した。彼らは、特にアフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)を通じた地域安全保障の信頼できるシステムの創設と、小型武器(SALW)の拡散を含む、すべての不安定要素を取り除くことの重要性を強調し、進展を議論した。この枠組みにおいて、東アフリカ沖の海賊行為、西アフリカにおける薬物不正取引、資金洗浄及びあらゆる集団によるテロリズムを含め、あらゆる形態の犯罪行為及び組織犯罪とより効果的に闘うために、協同の努力を継続することに合意した。

4.G8及びアフリカのパートナーは、2008年のG8及びAUサミットでなされた水と衛生に関する共同作業を改善するという相互の呼びかけに応えて、アフリカにおける水へのアクセスと衛生を改善する国家計画

を支援する、より強力なパートナーシップ構築に向けた決意を表明する共同声明を初めて発出した。

5.最後に、G8及びアフリカのパートナーは、長年にわたる農業・食料安全保障に対する過小投資、価格動向及び経済危機を懸念しつつ、ラクイラに集まった他の国々とともに、グローバルな食料安全保障に関する共同声明を発出すること及び包括的アフリカ農業開発計画(CAADP)を支援することの重要性を認識した。