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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8司法・内務大臣会議,キャパシティ・ビルディング支援に関するG8司法・内務閣僚宣言

[場所] 東京
[年月日] 2008年6月13日
[出典] 警察庁,法務省
[備考] 仮訳
[全文]

 国際組織犯罪及び国際テロが世界に対する深刻な脅威を与え続けている今日、国際協力の必要性は著しく高まっている。組織犯罪及びテロリスト集団の活動は、今や国境によって縛られておらず、すべての国が協働して市民の安全を確保し、法の支配を推し進める必要がある。テロと国際組織犯罪は、異なる動機と論理によって動かされる別個の現象ではあるが、いずれも国際協力の拡充を必要ならしめるものである。国際協力の中でも最も重要な取組の1つは、これらの脅威と闘うための司法制度、刑事及び関連法制並びにテロ行為を防止するための政策、手続及び体制を整備し、並びに法執行能力を拡充する上で助力を必要とする国に対するキャパシティ・ビルディング支援の供与である。

 G8諸国は長い間キャパシティ・ビルディング支援を重視し、単独で又は共同で、各種の活動に取り組んできた。支援の行われた分野は、組織犯罪及びテロと闘うための法整備、関連する各種条約・議定書・決議‐‐とりわけ国際組織犯罪防止条約(UNTOC)及び付属議定書、国連腐敗防止条約(UNCAC)並びにテロ防止関連諸条約‐‐の国内的実施の促進、警察及び法執行当局の能力構築、犯罪人引渡、国際捜査共助等の法的協力のためのメカニズムの強化等にわたっている。G8はまた、ハイテク犯罪24時間コンタクトポイントネットワークを設立、強化、訓練し、それは今や50の国・地域の参加を数えるに至っている。

 テロ対策のためのキャパシティ・ビルディング支援に関しては、我々の首脳は、2003年、エビアンにおいて、「テロと闘うための国際的な政治的意思及び能力の向上」に関するG8行動計画に合意し、これに基づいてテロ対策行動グループ(CTAG)が設けられた。CTAGは、設置以来定期的に会合し、G8以外のドナー及び国連その他の関連組織の参加を得て、情報と経験を共有し、支援の焦点を合わせる場として機能してきた。また、G8は、テロとの国際的な闘いにおける国連の中心的な役割を認知し、テロ対策委員会(CTC)及びその事務局(CTED)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)等、関連する国連機関によるキャパシティ・ビルディングの取組を歓迎し、支持してきた。

 同様に、我々の首脳は、2000年、沖縄において、犯罪集団が、より脆弱な国の社会、経済及び政治構造を脅かし、犯罪に対抗する世界的な枠組みの抜け穴として、これらの国を利用することを防ぐため、そのような国の刑事司法制度を強化するためのキャパシティ・ビルディングの努力を支援することの重要性を確認している。

 キャパシティ・ビルディング支援の目標は、国際組織犯罪対策にせよ、テロ対策にせよ、平和と安全、ガバナンス、人権、そして法の支配を促進することにある。両分野において求められる努力は同一ではないが、法と秩序の基本的な価値は普遍的なものであるから、これらの取組は相互補完的でなければならない。

 我々は、司法の実現と法執行能力の改善を目指した支援が、その効果を最大限に発揮するためには、以下のものが必要と考える。

●被支援国の主権及びオーナーシップ、並びに説明責任を伴った統治及び安全に対する国民の権利の尊重

●被支援国の歴史、文化、法的伝統及び社会に対する理解

●被支援国のニーズに適合する柔軟性と多様性、それと同時に、関連する国際法文書の規定及び目的との全面的な整合性

●司法制度と法執行能力の適切な均衡を確保するための全体論的なアプローチの採用

●持続的な効果を上げるため、中長期的視点に対する適切な考慮

●実行可能な場合には、将来の開発努力の強化に向け、プログラムの長所と短所を特定するための定期的な評価

●限られた資源の効率的・効果的な投入を促進するための支援国間調整の重要性に対する認識

 司法制度、刑事及び関連法制並びにテロ行為を防止するための政策、手続及び体制を整備し、並びに法執行、検察、裁判、弁護及び矯正の能力を拡充するためのキャパシティ・ビルディング支援の死活的重要性にかんがみ、我々はここに、適切な二国間、地域間又は多国間のチャネルを通じて、我々の権限の範囲内の支援を提供する努力を継続し、また、その質的向上を図る努力を継続することを約束する。我々、G8各国の司法・内務担当閣僚はまた、世界中のパートナーに対し、この重要な努力に参加するよう呼び掛ける。