データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8首脳会合議長総括

[場所] シーアイランド、ジョージア州
[年月日] 2004年6月10日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々は、世界をより安全でより良くするための国際協力を強化することにより自由を前進すべく、シーアイランドにおいて、我々の年次サミットの会合を行った。

 アフガニスタン、アルジェリア、バハレーン、イラク、ヨルダン、イエメン、トルコの首脳がシーアイランドで我々に加わった。

 我々は、イラクに関する国連安全保障理事会決議1546の全会一致による承認を歓迎した。我々は、一致団結して、国家を再建しようとしているイラクの人々及び完全な主権を有するイラク暫定政権を支援する。

 拡大中東・北アフリカに関する議論において、我々は、改革の必要に関するこの地域からの諸声明を歓迎した。我々は、世界の主要先進民主主義国の首脳として、自由と改革を支援する特別な責務を認識し、以下を約束した:

・歴史的な「拡大中東・北アフリカとの前進と共通の未来に向けたパートナーシップ」を築く。

・我々のパートナーと共に、未来のためのフォーラムを創設する。これは、地域の改革努力を支援する永続的な対話を行う我々の努力の基礎となるものである。フォーラムの第1回会合は、本年後半に開催される。

・G8改革支援計画を採択する。これによって、我々は、既に強固な我々の二国間及び共同の関与を強化し、更に地域とのパートナーシップのもとで拡大するとともに、民主主義、識字、企業家精神/職業訓練、零細金融、中小企業金融その他を支援する新しいイニシアティブを開始することにコミットする。

 地域の改革に対する我々の支援は、アラブ・イスラエル間の紛争の公正、包括的かつ永続的な解決に対する我々の支援と歩調をあわせて進む。我々は、四者会合に対し、ロードマップのモメンタムを回復するため、今月末までにこの地域で会合を開くよう求めた。

 エビアンにおいて、我々は、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散が、国際テロと並んで、国際の平和と安全に対する顕著な脅威であることを認識した。拡散を防止し、封じ込め、巻き返しを図る決意のもとに、我々は、グローバルな不拡散体制を強化するために不拡散に関するG8行動計画を採択した。この行動計画は、現在では全てのG8諸国が参加している拡散に対する安全保障構想、及び大量破壊兵器・物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップなどの現在進められている取組みを強化し拡大する。この行動計画は、濃縮及び再処理資機材・技術の移転について取り上げ、国際原子力機関を強化し、生物テロに対抗するための措置をとるものである。この行動計画は、全ての国に対し、最近採択された国連安全保障理事会決議1540を実施することを要請し、北朝鮮、イラン及びリビアにおける拡散の課題を取り上げている。

 国際テロは、世界の安全と繁栄に対し直接の課題を投げかけている。我々は、空・陸・海の渡航の安全と効率を改善するための、安全で容易な海外渡航イニシアティブ(SAFTI)を立ち上げることにより、我々のテロ対策を強化することに合意した。我々は、携帯式地対空ミサイル(MANPADS)の余剰備蓄を廃棄し、その拡散を防止する新しい措置に合意した。

 我々は、世界経済が力強さを増していることを歓迎した。我々は、我々の国々において成長を加速させるための更なる改革を実行するために、力強い世界経済の環境を活用することが重要であるとの点で合意した。我々は、石油を増産するという石油産出国による最近の誓約に留意した。我々は、新技術を通じたものを含め、エネルギー供給を増やし、より効率的なエネルギー利用及び保全を促すという、バランスのとれたエネルギー政策の必要性を認識した。

 我々は、戦略的な経済的好機に直面していることを認識した。様々な地域での成長の好転を、世界的な貿易障壁の削減と結合させることにより、我々は、この経済的拡大を深化し、推進し、進展することが出来る。従って、我々は、7月までに枠組みを完成し、WTO交渉を再び軌道に乗せ、ドーハ開発アジェンダを迅速に完結できるよう、我々の閣僚に指示し、全てのWTO加盟国に要請した。我々は、ロシアのWTO加盟に向けた最近の進展を歓迎した。我々は、また、知的財産の不正使用及び海賊行為と闘う必要性を認識した。

 武力紛争、HIV/エイズ、飢餓及び貧困等のアフリカが直面している課題は、永続的な進歩を達成するためのアフリカによる努力を支援するための国際協力を強く要請するものである。我々は、アルジェリア、ガーナ、ナイジェリア、セネガル、南アフリカ、ウガンダの大統領と会談し、以下を約束した。

・世界的な平和支援能力の拡大に関するG8行動計画を開始する。

・企業家能力の貧困削減への適用に関するG8行動計画を採択する。

・HIVワクチンの開発を加速させるために、世界HIVワクチン事業を確認し、創設する。米国は、本年後半、全ての事業関係者による会合を主催する。

・2005年までにポリオを撲滅するために必要なあらゆる手段をとり、次回サミットまでに資金不足を解消する。我々は、既に2004年の資金不足を解消した。

・「アフリカの角」地域における飢餓の循環の打破、農業生産性の向上、食糧事情が不安定な国々における農村開発の促進に関する新しいイニシアティブを開始する。

・重債務貧困国(HIPC)イニシアティブを完全に実施し、資金供与するという我々の決意を再確認した。我々は、HIPCに関する声明を別途に発出した。

 持続可能な開発は、環境を向上させるための国際的な協力と行動を必要とする。我々は、発生抑制、再使用、再生利用(「3R」)イニシアティブを支持した。

 我々は、腐敗対策に関する多数国間の取組みの進展を支持し、グルジア、ニカラグア、ナイジェリア及びペルーとの包括的な腐敗防止協約の完成を歓迎した。我々は、透明性の向上において情報技術が果たせる役割に留意した。

 我々は、以下を含む地域的な課題についても議論した。

・アフガニスタン:我々は、来たるアフガニスタンでの選挙及び麻薬対策のための国際的な支援の必要性について意見の一致をみた。

・ガザ撤退/中東和平:我々は、別途、ガザ撤退及び中東和平へ向けた道程に関する声明を発出した。

・ハイチ:我々は、ハイチにおける予算支援、電気及び警察の緊急なニーズをいかに満たすかについて議論し、全てのドナーに対し、7月のドナー会合において支援を提供し、この国に持続可能な未来をもたらすために、最大限の努力を払うことを要請した。

・北朝鮮:我々は、不拡散に関するG8行動計画において北朝鮮の核問題を取り上げた。我々は、六者会合を支持し、また、北朝鮮の核問題及び他の安全保障問題や拉致などの人道上の問題について、外交的な手段により包括的な解決を達成するための全ての関係者の努力を支持する。

・スーダン:我々は、スーダンに関する声明を別途に発出した。

 我々は、2005年に次回のサミットを主催するとの英国首相の申し出を歓迎した。