データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8外相会合議長国サマリー

[場所] パリ
[年月日] 2003年5月23日
[出典] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/evian_paris03/g8gai_s.html
[備考] 仮訳
[全文]

 G8外相は、主要な地域問題及び国際安全保障問題について議論するため、2003年5月22日から23日まで、パリにおいて会合した。

国際安全保障

テロとの闘い

G8各国は、国際テロに全面的に対峙するために引き続き結集している。G8外相は、国連テロ対策委員会を支援するための行動計画を策定するとの原則を歓迎した。G8外相は、交通保安、テロ資金及び各国の対テロ防衛のための組織的能力に関してG8によってとられた様々な行動が、カナナスキス・サミット以降に取られた施策を有益な形で補完したことを強調した。G8外相は、この分野における12の国連条約への加入を更に拡大し、また、テロ資金に関する施策を補完することによって、我々の努力を継続することを誓った。

不拡散

大量破壊兵器の拡散及び非国家主体によるその使用の危険により増大しつつある脅威に関する深い懸念が表明された。G8外相は、拡散の危険の根元にしばしば存在する地域の緊張の緩和に取り組んでいくことに合意した。G8外相は、拡散の脅威は、国際機関、特に国連安全保障理事会を通じた、共通且つ包括的なアプローチによって対処されるべきことを再確認した。G8外相は、国際原子力機関(IAEA)を含む既存の手段を活用し且つ強化することを固く誓った。国際原子力機関(IAEA)には、保障措置に係わる任務を遂行し得るだけの予算を認め、その効率性と優先順位付けを改善すべきである。

G8外相は、カナナスキスにて発表されたグローバル・パートナーシップの進展を歓迎した。

小型武器

G8外相は、小型武器の非合法取引について議論した。G8外相は、この取引により悩まされている緊張地域や紛争後の地域が直面する困難は、具体的な結果を達成するのに役立つような地域的アプローチをとることで、より良く対応し得ることを強調した。G8外相は、2003年7月、ニューヨークで、日本の議長の下で開催される小型武器非合法取引防止のための国連小型武器中間会合を支持した。

北朝鮮

北朝鮮の核問題は、国際的な平和と安定に対する脅威を構成する。北朝鮮による不拡散のコミットメントの遵守は、国際社会全体の関心事項である。国連安全保障理事会は、本問題に引き続き関心を払い、建設的な役割を果たすべきである。

G8外相は、北朝鮮に対し、そのコミットメントを守り、状況を悪化させるようないかなる行為をも行わず、その核兵器プログラムの完全、迅速、検証可能かつ不可逆的な廃棄に着手するよう求めた。

G8外相は、北朝鮮の核問題、及び、拉致問題のような未解決の人道上の問題を含むその他の諸問題についての平和的手段による包括的な解決を追求する異なる当事者による努力を支持した。

2003年4月23日及び24日に北京において開催された三者会合により開始された協議のプロセスは、この目標へ向けての一歩である。G8外相は、このプロセスが継続され、また、韓国、日本及びロシアをはじめとする最も直接的に関係する他の諸国に開かれるよう呼びかけた。この関連で、G8外相は、多国間協議の枠組みの設定において中国が果たした役割を賞讃した。また、G8外相は、韓国が追求している平和繁栄政策及び日朝平壌宣言に基づく日朝間の対話を支持した。

イラン

イランの核開発計画は懸念の原因である。G8外相は、イランによる国際原子力機関(IAEA)追加議定書の署名と実施、及びイランが加入していない国際的な文書への加入を含め、イランが信頼醸成を行うことにより、これらの疑問を和らげる必要がある旨述べた。G8外相は、イランに対し、このメッセージを伝達するためにこれら全ての機会を活用した。

G8外相は、イランに対し、改革の途における努力を追求するよう求め、イランとの建設的な対話を維持することへの希望を表明した。G8外相は、イランに対し、テロとの闘いへのコミットメントを維持し、関連する国際決議や条約を完全に実施するよう求めた。

コロンビア

コロンビアにおける、またコロンビアに起因する麻薬テロ、及び麻薬によって過熱化するコロンビアでの暴力やテロの危険が同国の民主主義を守るための努力を危険に陥れ、地域の他の諸国へ波及しかねないことについて深い懸念が表明された。

G8外相は、ウリベ大統領及びコロンビア政府による国家の権威を強化するための行動を支持し、非合法武装集団に対する断固たる政策を無条件に支持した。

SARS

アジアで現在流行している流行病によって提示された問題は、地域の枠組みを越えている。国際社会全体、特に先進工業諸国が、これに断固として対峙すべきである。

G8外相は、この流行病の地球的規模の性格を考慮し、本問題の共同管理を求める、国際社会の集団的責任について強調した。

コンゴ民主共和国

G8外相は、コンゴ民主共和国における情勢について議論し、同国の北東部イツリで行われている殺害行為は、和平プロセスを危機にさらすものであり、直ちに終結されるべきであることを強調した。

G8外相は、地域で展開している国連軍を支援するために現在行われている動員を支持した。

グルジア

G8外相は、コーカサス地方の安定の点からグルジアの主権と領土的一体性を維持することの重要性について強調した。彼らは、この点で国連及び欧州安全保障協力機構(OSCE)によって開始された努力を支持した。

アブハジア問題に関しては、G8外相は、当事者間の信頼回復を促進するとの同じ目標を念頭においた、国際社会の希望に沿った政治的解決を促進するため国連事務総長によるイニシアティブ、およびロシアとグルジアによる行動を歓迎した。

インド・パキスタン

G8外相は、インドによってとられたイニシアティブおよびパキスタンによる積極的な対応を受け、両国が二国間関係を正常化するためにとった努力を歓迎した。G8外相は、両国に対し、自分たちが支持する用意があるところの二国間対話及び和解の道を引き続き歩むよう厳粛に呼び掛けた。

G8外相は、シムラ及びラホールの合意の精神により、対話を通じ全ての相違点を解決することを目指した政治的プロセスが、両国間で進展することへの希望を表明した。

アフガニスタン

地域の安定のためアフガニスタンの正常化が不可欠な要素である。

G8外相は、ボン合意以降に達せられた進展、及びカルザイ大統領を長とするアフガニスタン移行行政機構の努力を歓迎した。しかしながら、G8外相は、未だ同国が直面する困難、特に国内治安の面につき、引き続き深い懸念を有している。彼らは、全ての地方支配者は今後武装解除し、中央政府に従わなければならないことを強調した。

G8外相は、ボン・プロセスをその精神及び内容において完全かつ遅滞なく成功裏に終えなければならないことを再確認した。彼らは、国連に対し、この目標に向けて努力し、特に2004年に自由で、信頼に足る、民主的な選挙の実施を支援するよう呼びかけた。

彼らは、地域諸国に対し、アフガニスタンの不安定化を狙ってアフガニスタン情勢に干渉する全ての過激派集団の活動と闘うよう呼びかけた。

G8外相は、フランスのイニシアティブによって開催されたアフガニスタンからの麻薬ルートに関する会合を歓迎した。彼らは、アフガニスタン移行行政機構のケシ栽培および阿片生産との闘いに対する支持を再確認し、この点につき、国連が果たしている役割を賞讃した。彼らは、アフガニスタンから持ち出される麻薬の取引の増加に懸念を有する全ての国を一層参加させる必要性を強調した。

スリランカ

スリランカ政府と「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の間の、一年以上におよぶ和平プロセスによって重要な進展が見られた。

G8外相は、ノルウェーが果たした建設的な役割に感謝した。

G8外相は、LTTEの交渉への参加停止を遺憾であるとし、今年6月に日本で開催予定の東京会議が、LTTEを含めた全ての当事者が和解する機会となることへの希望を表明した。

イラク

G8外相は、対イラク制裁解除決議についての国連安全保障理事会での合意を歓迎した。G8外相は、長年の苦難と戦争の末、この決議により国際社会によって合意された文脈で、イラクの復興と安定化に着手することが可能になったことを強調した。

G8外相は、以下を実施するために、国際社会の全ての構成主体及び国連による決然とした行動の重要性について議論した。

− 緊急事態、特に食糧及び保健面での緊急事態へ対処すること。

− イラクが、人権を尊重する民主的かつ代表制を有する制度を導入し、完全な主権を可能な限り早期に回復すること。

− 資源が全てのイラク人を被益することを確保しつつ、イラクの経済再建を支援すること。

G8外相は、イラクの地域環境及び国際社会への再統合を促進するために、イラクの統一、安定、及び領土的一体性を確保することの重要性を再確認した。

イスラエル・パレスチナ

四者会合のロードマップによって示された道筋は、イスラエル人とパレスチナ人の間の紛争を、存続可能な二つの国家が安全かつ承認された国境の中で共存するという枠組みの中で解決し、何十年にも亘る人々の苦悩を終わらせるための歴史的な機会を提供する。

G8外相は、全ての方面からの努力が必要であると認識し、当事者に対して、2005年に、四者会合によって規定された条件のもとで、2つの国家を樹立するという解決に到達するために、ロードマップの受け入れを確認し、ロードマップの完全かつ誠意をもった形での実施を開始するよう呼び掛けた。

G8外相は、パレスチナ人の機構を再建するためにパレスチナ人が行った勇気ある決定を歓迎し、これを、政治的かつ経済的に支持することを約束した。G8外相は、更なる進展があるようにとの希望を表明した。最近のテロ攻撃を踏まえ、G8外相は、改めてテロを全面的に非難し、パレスチナ人及びイスラエル人に対して全ての暴力を終結させるよう呼び掛けた。

G8外相は、シリア及びレバノンを含む包括的な和平の達成について議論した。これらの諸国との間での協議を再開する時機が到来した。当事者に対し、相手方の懸念を考慮に入れ、誠実に、恒久的な和平を導くための交渉を開始すべきである。G8外相は、このプロセスを完全に支持する。