データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] G8コミュニケ(第27回主要国首脳会議)

[場所] ジェノヴァ
[年月日] 2001年7月22日
[出典] http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2001/genova/g8commu.html
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々、主要先進民主主義8ヶ国の元首及び首相並びに欧州連合の代表は、新たなミレニアムにおける最初のサミットのため、ジェノヴァで会合した。協力の精神の下、我々は、国際問題の中で最も喫緊の課題について話し合った。

2.我々は、国民に責任を負う民主主義国家の指導者として、我々の社会が直面する主要な課題に関し、国民による開かれた議論が行われることが根本的に重要であると信じる。我々は、市民社会及び民間セクターとの広範なパートナーシップに根ざした革新的な解決を促進する。また我々は、貧困克服及び持続可能な開発の促進に向けた相互の責任に基づき、開発途上国との協力及び連帯の強化を模索する。

3.我々は、グローバリゼーションが、我々のすべての国民と、特に世界の貧困層に裨益するものとなるよう決意する。最貧国を世界経済に取り込むことが、これらの国の根本的な願望に応える最も確実な方策である。我々は、これを達成するための戦略について集中的に議論した。

 貧困削減のための戦略的アプローチ

4.多くの開発途上国、特にアフリカ諸国の状況は、断固としたグローバルな行動を必要としている。最も効果的な貧困削減に対する戦略は、強力で、ダイナミックで、開放的で、かつ、成長を続ける世界経済を維持することである。我々はこれに取り組むことを約束する。

5.また我々は、長期的な繁栄を築くための開発途上国の自助努力を支援するため、効果的な開発援助を引き続き供与する。第3回国連後発開発途上国会議及びミレニアム宣言の結論に従い、我々は、オーナーシップとパートナーシップの原則を中心とする戦略的アプローチを支持する。援助の供与国と受益国の共通の利益のため、我々は、限られた資源の効率的な利用を確保する。

6.人権尊重と法の支配に根ざした、開放的で、民主的で、かつ、国民に責任を負う統治制度は、持続可能な開発と力強い成長のための必要条件である。したがって、我々は、開発途上国が以下を推進することを支援する。

   ・公共セクターにおける説明責任及び透明性

   ・汚職と闘うための法的枠組みとコーポレート・ガヴァナンス制度

   ・公金の横領や非生産的な使途への流用の防止策

   ・すべての国民による司法制度へのアクセス、司法の独立、及び民間セクターの活動を可能とする法規定

   ・市民社会及び非政府機関(NGO)の積極的な関与

   ・経済活動の自由

  我々としては、

   ・OECD贈賄防止条約を完全に実施し、

   ・効果的な腐敗防止策の遂行に向けた国連における努力を支持し、

   ・国際開発金融機関(MDB)に対し、受益国による公共支出と予算管理の強化を助けるよう奨励する。

 債務救済及び債務救済を越えた取組

7.債務の救済、特に拡大重債務貧困国(HIPC)イニシアティブは、貧困との闘いに対する貴重な貢献ではあるが、それは極めて貧しい国々の成長を加速させるために必要なステップの一歩でしかない。我々は、23ヶ国が、740億ドルの当初の債務残高のうち、総額530億ドル以上の債務救済を受ける適格国とされたことを喜ばしく思う。我々は、この前進を続けなければならない。

8.特に、我々は、紛争によって影響を受けている国に対し、暴力に訴えることを止めることを期待する。そのように行動するならば、我々は、これらの国が債務救済を受けるために必要な措置をとることを助ける努力を強化することを確認する。我々は、HIPCイニシアティブは、力強い国内政策を確保するためのこれらの国による改革及びドナーによる責任ある貸付と相俟って、HIPCを持続不可能な債務負担からの永続的な脱却に導くためのものであることを確認する。

9.債務救済を越えて、我々は、次の相互に補強し合う3つの点について集中的に議論した。

   ・開発途上国の世界貿易体制への一層の参加

   ・民間投資の増大

   ・保健、教育及び食糧安全保障の促進に向けたイニシアティブ

10.開放的な貿易と投資は、世界的な成長と貧困の削減を推進する。それゆえ、我々は、本日ここに、均衡のとれたアジェンダの下での世界貿易交渉に関する野心的な新ラウンドの立ち上げを支持することに合意した。

11.世界的な交渉によって市場を開放することは、最大の経済的恩恵を開発途上国にもたらすものであるが、我々は、武器以外のすべての後発開発途上国(LDC)産品への無税・無枠措置、一般特恵制度及び同様の目的のためのその他すべての取組といった、LDCの市場アクセスの向上のために既に実施された措置を全面的に支持する。我々は、すべてのLDC産品が無税・無枠の市場アクセスを得られるよう努力するとの、第3回国連LDC会議における誓約を確認する。我々は、LDCが世界貿易体制に参加し、貿易を基礎とした成長の機会を利用するための努力を支援する。

12.市場アクセスの増大は、開発途上国がそれを活用する能力を伴わなければならない。したがって、開発途上国が開かれた市場から利益を得ることを助けるため、我々は、貿易に関連する援助をより協調的なものとし、

   ・技術的な基準、関税システム、世界貿易機関(WTO)の加盟国となるために必要な立法、知的所有権の保護及び人的資源の開発に関する二国間援助を供与する。

   ・貿易関連技術協力に関する統合フレームワークの作業を支援する。

   ・国際金融機関に対し、貿易と投資に対する障害を除去し、貿易を振興するために不可欠な制度や政策の確立を助けるよう奨励する。

   ・途上国に対し、貿易の拡大を貧困削減戦略に取り込み、これを政策の中心とすることを強く求める。

13.経済を成長させ、生産性を向上させ、また、生活水準を向上させる上で、民間セクターによる投資の増大は必要不可欠である。我々は、開発途上国が民間投資環境を向上させることを助けるため、MDB及びその他の関連する国際機関に対し、官民のパートナーシップ及び投資に関する最良の慣行や、コーポレート・ガヴァナンスの分野における規則と基準、会計基準、一層の競争及び透明な税制の確立を含む、開発途上国による国内改革努力を支援するよう強く求める。我々は、世界銀行に対し、最貧国における民間セクター開発の促進計画に対して追加的な支援を行うよう要請する。我々は、知識集約型経済への一層の投資を促進するため、WTO及び世界知的所有権機関に対し、世界銀行と協力しつつ、最貧国が知的所有権に関する国際規則を遵守することを助けるよう要請する。

14.政府開発援助(ODA)は、必要不可欠である。我々は、開発援助の有効性を強化し向上することにより、「国際開発目標」を達成するために開発途上国と共に努力する。我々は、援助の有効性を高め、ドナー間のよりバランスのとれた努力分担を達成するような、OECDのDACによる画期的なLDCアンタイド化勧告を実施することにコミットする。

15.我々は、昨年沖縄で、感染症との闘いにおいて飛躍的な前進を達成すること及び病気と貧困の悪循環を断ち切ることを約束した。我々は、このコミットメントを果たすため、また、国連総会からの要請に応えるため、国連事務総長と共に、HIV/エイズ、マラリア及び結核と闘うための新たな「世界基金」を立ち上げた。我々は、本年中にこの基金が活動を開始することができるようにする決意である。我々は、13億ドルをコミットした。この基金は、官民のパートナーシップに基づくものであり、我々は、他の国々、民間セクター、財団及び学術機関に対し、各々が資金的、物的貢献、あるいは専門知識の共有を通じた貢献をもって参加するよう要請し、既になされた約5億ドルに達する更なるコミットメントを歓迎する。

16.この基金は、治療及びケアと一体となった予防に重点をおく統合的アプローチを促進する。この基金は、立証された科学的及び医学的効果、迅速な資金移転、低くおさえた業務コスト並びに結果を重視する簡素な組織といった原則に従って活動を行う。我々は、基金の存在が、ドナー間の一層の協調を促進し、民間セクターによる研究開発に対し更なるインセンティブを与えることを期待する。基金は、パートナー諸国各々の保健計画に組み込むため、既存のプログラムと整合性がとれた形で追加的資金を提供する。開発途上国が、基金の目的及び活動に関与することは、これらの国々のオーナーシップ及び成果へのコミットメントを確保する上で極めて重要である。NGOを含む地域レベルのパートナー及び国際機関は、基金を成功裡に活動させる上で有益であろう。

17.国の確固たる保健制度は、効果的な予防、治療及びケアの実施並びに必要不可欠な保健サービス及び医薬品への差別なきアクセスを改善する上で、引き続き中心的な役割を担う。HIV/エイズ及び他の疾病に効果的に対処するには、保健セクターを超えた社会全体での行動が必要である。我々は、より容易に薬が入手できるようにするため製薬業界がとった措置を歓迎する。我々は、新たな世界基金との関連で、薬が安価で医学的に効果的な方法で可能な限り幅広く供給されることを促進するため、製薬業界及びこれら疾病の影響を受けている国々と協力する。我々は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs)の関連条文の援用に関してWTOにおいて行われている議論を歓迎する。我々は、これら疾病の影響を受けている国々が、薬を必要としている国民、特に経済的余力がないため基礎的な医療を受けることができない人々の薬の入手を確保するため、この協定により与えられている柔軟性を活用することが適切であると認識する。同時に、我々は、命を救う薬の研究開発への必要なインセンティブとして、強力かつ効果的な知的所有権の保護に対する我々のコミットメントを再確認する。

18.教育は、成長と雇用の中心基盤である。我々は、各国が2015年までに普遍的な初等教育を達成するというダカール行動枠組みの目標の達成を支援するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、地域主体の戦略を支える上で開発援助の有効性を高めることの必要性に合意する。各国の貧困削減戦略及び我々の開発プログラムにおいて、教育、とりわけ普遍的な初等教育及びあらゆるレベルにおける女児への平等な教育機会の付与に、高い優先順位が与えられなくてはならない。HIPCイニシアティブを実施した結果利用可能となった資源は、これらの目標に寄与し得る。我々は、進展を測り、最良の慣行を特定し、また、成果についての説明責任を確保するための評価システムの構築を支援する。また我々は、教員の訓練に重点を置く。我々は、G8デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース)の作業を踏まえ、最良の慣行に沿った形で教員を訓練し、また、教育戦略を強化するため、情報通信技術(IT)の利用を拡充することに取り組む。我々は、特に、民間セクターに対し、インフラ、IT及び学習教材への新たな投資機会を検討するよう奨励する。我々は、MDBに対し、教育に対してより焦点をあて、健全な戦略を有していながら十分な資源を欠いている国々に今後の活動を集中させ、来年、G8に報告するよう奨励する。我々は、普遍的な教育のため主要な役割を担うUNESCOを支持する。また我々は、児童労働と闘う努力を支援するため国際労働機関(ILO)と協力し、就学率を向上させるためのインセンティブを醸成する。

19.我々は、開発途上国、関連する国際機関及び他の利害関係者との協力の下でダカールの目標を追求する最善の方法について我々に助言させるため、G8の上級専門家からなる作業部会を設立する。この作業部会は、我々の次回会合までに提言を提出する。

20.2001年11月の「世界食糧サミット:5年後会合」が近づいているが、食糧安全保障は未だ確立されていない。少なくとも2億5千万人以上の児童を含む8億人以上の人々が依然として深刻な栄養失調の状態にある。我々の貧困削減戦略の中心的課題は、引き続き、十分な食糧供給へのアクセス及び農村地域開発である。農業への支援は、ODAの極めて重要な手段である。我々は、国家戦略にこのための計画を盛り込み、農業科学分野における訓練を強化しつつ、貧困国の能力開発に努力する。農業生産性を高めるため、あらゆる努力が払われるべきである。とりわけ、開発途上国において、バイオテクノロジーを含め、十分に試行された新技術を安全かつ地域の状況に適合した形で導入することは、伝統的な手法よりも少ない農薬と水を用いての農作物の生産量の大幅な増加にとって、大きな潜在的な可能性を有する。我々は、開発ニーズに対処する上で、バイオテクノロジーの責任ある利用について研究し、共有し、及び促進することにコミットする。 

21.我々は、最も食糧が不足している地域、特にサハラ以南アフリカや南アジアに目標を設定し、また、引き続き、南南協力を奨励する。我々は、国際機関及びNGOが救済活動において果たしている極めて重要な役割を支持する。我々は、国の貧困削減及び部門別の戦略は、新生児やその母親を含む社会的弱者の栄養上のニーズを適切に考慮したものであるべきと信じる。

 ITが提供する機会(デジタル・オポチュニティ)

22.ITは、開発途上国の成長の加速、生活水準の向上及びその他の開発における優先課題の達成を支援する上で非常に大きな可能性を有する。我々は、沖縄のマンデートを成功裡に履行したデジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース)の報告書及びジェノヴァ行動計画を支持する。政府、民間セクター、非営利セクター及び開発途上国政府各々の代表による直接的な参加は、デジタル技術が開発ニーズを満たすことを確保する上で独特な形を提供する。我々は、このプロセスを引き続き支持し、すべての利害関係者によるオーナーシップの発揮、専門知識及び資源の動員並びにこの成功裡の協力の増進を奨励する。我々は、ジェノヴァ行動計画の実施について、G8議長国の報告に基づき次回サミットでレヴューを行う。また我々は、電子政府が、市民に力を与え、不可欠な行政サービスをより効率的に提供することにより、いかに民主主義及び法の支配を強化し得るかについての行動計画の策定を奨励する。

 将来への遺産

 環境

23.我々は、地球がさらされている脅威に対するグローバルな解決策を見出すとの決意を確認する。我々は、気候変動がグローバルな解決策を必要とする喫緊の課題であることを認識する。我々は、強いリーダーシップを発揮することにコミットする。大気圏中の温室効果ガスの集積を安定化させるとの国連気候変動枠組条約の究極の目的と整合的な、迅速かつ効果的で、持続可能な行動が必要である。我々は、市場及び技術の力を利用しつつ、様々な柔軟な手段を通じてこの条約の下での国家としてのコミットメント及び義務を果たすことを決意する。この文脈で、我々は、気候に関連する科学及び研究における協力を強化することの重要性に同意する。我々は、技術移転及びキャパシティ・ビルディングにおける我々G8各国と開発途上国との間の協力を促進する。

24.我々は、温室効果ガスの排出を削減する必要性について完全に合意している。京都議定書及びその批准に関しては、現時点では意見の不一致があるが、我々は、我々の共通の目標を達成するため、集中的に協力していくことにコミットする。このため、我々は、ボンにおいて再開された第6回締約国会議(COP6)に建設的に参加しているが、全ての関連するフォーラムにおいても引き続き同様の姿勢で臨む。我々は、最近のG8各国間及びその他の国々との間で議論が深化していることを歓迎する。

25.我々は、我々の努力が、環境を保護するとともに、現在及び将来の世代のための持続可能な開発という我々が共有する目的と両立する経済成長を確保するとの結果に最終的に帰結しなければならないことを再確認する。

26.我々は、政府、ビジネス界及び科学者、並びに市民社会の代表の参加を得て、気候変動に関する世界会議を2003年に開催するとのロシアの提案を歓迎する。

27.我々は、持続可能な開発、エネルギー供給の多様化及び環境の保全のため、再生可能エネルギーの重要性を認識する。我々は、再生可能エネルギー源が我々の自国の計画において十分に考慮されることを確保するとともに、他の国々も同様の行動をとることを奨励する。我々は、世界中で、再生可能エネルギー技術に関する継続的な研究及び投資が行われることを奨励する。再生可能エネルギーは、貧困削減に寄与し得る。我々は、開発途上国が、再生可能エネルギー及びその他のクリーン・テクノロジーに対する民間セクターからの投資を呼び込むことができるようにするための、制度面での能力及び市場指向的な国家戦略を強化することを助ける。我々は、MDB及び各国の開発援助機関に対し、革新的なアプローチを採用し、再生可能エネルギーのための市場原理に基づいた融資メカニズムを開発するよう要請する。我々は、地球環境基金(GEF)が引き続き、地球規模の環境保護を支持するとともに、開発途上地域における効率的なエネルギー利用及び再生可能エネルギー資源の開発を推進する良き慣行を醸成するよう強く求め、また、第三次増資のための十分な資金コミットメントの必要性を強調する。我々は、沖縄において設立された再生可能エネルギー・タスクフォースの活動に参加したすべての人々に感謝する。G8のエネルギー担当大臣は、これら及びその他のエネルギー関連の問題について議論するため、来年、会合を開催する。

28.我々は、2002年にヨハネスブルグにおいて開催される「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」をリオ・プロセスの重要な里程標として期待している。持続可能な開発の3つの次元−経済成長の推進、人間及び社会の発展の促進、環境の保護−は、我々の協調的な行動を必要とする相互に依存している目的である。我々は、開発途上国とのパートナーシップの下、行動指向的な結果につながる前向きかつ実質的な議題について、市民社会の参加を得て準備プロセスを進めていくよう努めていく。我々は、最近の「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs)」の採択を歓迎し、その早期の発効を強く促す。

29.我々は、我々の輸出信用機関(ECAs)が高い環境上の水準を遵守するよう確保することにコミットする。したがって、我々は、沖縄において、関連するMDBの経験を踏まえ、ECAsのための共通の環境上の指針を作成することに合意した。昨年からの進展を踏まえ、我々は、OECDにおいて、年末までに沖縄のマンデートを履行する勧告につき合意に達することにコミットする。

 食品の安全性

30.食品の安全性が国民にとり決定的に重要であることを十分に認識し、我々は、透明で、科学的でルールに基づいたアプローチを引き続き支持するとともに、入手可能な科学的情報が不完全であったり矛盾したりしている状況において、どのように食品の安全性についての予防措置が適用されるべきかに関する、より幅広い世界的な合意を得るための我々の努力を強化する。我々は、政府、科学者、消費者、規制当局者及び市民社会の関係者の間で行われている対話を評価する。これは、開放性と透明性の原則に基づくものでなければならない。我々は、食品の安全性に関する利益及びリスクについての国民の明確な理解を促進する責任を認識する。我々は、独立した科学的助言、健全なリスク分析及び最新の研究成果に基づいた食品の安全性に関する情報を消費者に提供するよう努力する。我々は、科学と整合性を持つ、リスク管理のための効果的な枠組みが、消費者の信頼を維持し、国民の受容を育成する上で、鍵となる要素であると信じる。

31.我々は、新しいバイオテクノロジー、食品及び穀物に関して最近開催されたバンコク会議並びにOECD加盟国及びロシアの規制当局者によるアドホック会合の結果を歓迎する。我々は、関連する国際機関に対し、適当な場合には、それら各々のマンデートの範囲内で、この会議のフォローアップを行うよう奨励する。更に、我々は、FAO/WHO食品安全当局者のグローバル・フォーラムの設立を歓迎する。また我々は、食品の安全性の科学に関する均衡のとれた専門家の見解を公表するインター・アカデミー・カウンシルの活動を評価する。これらのすべての会合は、食品の安全性に対する国民の信頼を強化するための対話のプロセスへの我々のコミットメントを示すものである。

 すべての人が参加する社会における一層の繁栄

 雇用

32.経済パフォーマンスとすべての人が参加する社会は相互に依存するとの強い信念の下、我々は、昨年トリノにて開催されたG8労働大臣会合の勧告に沿った政策を実施することにコミットする。我々は、G8トリノ憲章「活力ある高齢化に向けて」において述べられているとおり、我々の経済及び社会にとって資源の大きな宝庫である高齢者の一層の活動を歓迎する。

 国際組織犯罪及び薬物との闘い

33.我々は、国際組織犯罪と闘うとの我々のコミットメントを再確認する。このため、我々は、本年ミラノで開催されたG8法務・内務大臣会合の成果を強く支持する。我々は、司法協力及び法執行の分野、並びに、腐敗、サイバー犯罪、オンライン上の児童ポルノ及び人の密輸との闘いにおける更なる進展を奨励する。

34.昨年宮崎で開催された薬物専門家によるG8アドホック会合及び麻薬系薬物をめぐる世界経済についての最近のロンドン会合のフォローアップとして、我々は、麻薬系薬物の不法取引及び使用を抑制するための努力を強化する。

 ジェノヴァ市民へ

35.我々は、ジェノヴァ市民に対し、その歓待に感謝し、そして、彼らが耐え忍ばねばならなかった、暴力、人命の喪失及び思慮のない野蛮行為を嘆く。我々は、開発途上国及びその他の利害関係者との活発かつ実りの多い対話を維持していく。そして、我々は、平和的な抗議を行う人々が、各々の考えを主張する権利を擁護する。しかし、我々は、民主的指導者として、世界に影響を与える極めて重要な問題に関する我々の議論に対して少数の暴力的な人々による妨害が容認されることは受け入れることはできない。我々の取組は今後も継続する。

 次回サミット

36.我々は、カナダのアルバータ州において来年6月26日から28日に再度会合するとのカナダの首相の招聘を受諾する。