データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第24回主要国首脳会議におけるG8外相・蔵相合同会合総括

[場所] バーミンガム
[年月日] 1998年5月9日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.我々G8各国外相・蔵相並びに欧州委員会代表は,ロンドンにおいて,5月9日に会合した。我々は,来週のG8バーミンガム・サミットへの準備を含め,様々な論点につき議論した。IMF専務理事,世界銀行総裁及びWTO事務局長が,最近のアジアにおける動きとそのより広範な影響に関する我々の議論に参加した。我々の議論の結果は,この問題を議論する準備のため,バーミンガムにおける元首及び首相の会合に報告される。

開発

2.我々は,リヨン及びデンヴァー・サミット並びに1996年に採択されたOECDの「21世紀戦略(新開発戦略)」にて打ち出された開発途上国との真のパートナーシップを実施するための実際的な措置につき議論した。また,我々は,過去10年間の画期的な国連諸サミット及び我々の二国間や多国間開発機関との共同の努力を踏まえ,計測可能な短期及び長期の開発目標に関する成果を達成するための実際的な措置につき議論した。我々は,事務当局のデンヴァー・サミットのフォローアップに関する報告に感謝する。我々は,その進捗を歓迎する。

3.このパートナーシップの目的は,持続可能な開発と貧困の削減に貢献しながら成長を促進することでなければならない。そのためにはすべてのパートナー,政府及び市民社会,並びに民間セクターの行動が必要である。我々は,世界経済に途上国の経済を一層統合するための行動の重要性と民間資本の流れと貿易の流れ並びにそれを引き寄せるために必要な当該国における政策改革の重要な役割を認めた。我々は,また,根深い社会的・経済的問題に取り組もうとしている開発途上国への公的支援の重要性を認識した。

4.公的支援に関連して,我々は,以下の点を特に強調した。

 ・二国間及び多国間のチャンネルを通じ相当量の政府開発援助が,特に最も貧しい開発途上国に,流入することの継続的な必要性。

 ・このような支援を可能な限り効果的なものとすることの重要性。良い統治,持続可能な開発及び貧困の撲滅に取り組むための効果的な戦略をとっている開発途上国に対し,政府開発援助の割合が増加するべきである。それら諸国への支援はより柔軟で,一層協調したものとなるべきである。我々は,OECD開発援助委員会,IMF・世銀合同開発委員会及びアフリカ特別支援プログラムにおいて,受け入れ国とのパートナーシップに基づき計画された,開発途上国に対するより柔軟な資金の供与及び技術協力プログラムを促進するよう努めることで一致した。効果的なパートナーシップが存在し目標が共有されている場合には,我々は,健全な開発戦略の中で大胆な改革を実施している国々に対し,可能な限り,また我々のプログラムに整合的な形で財政及び国際収支へのより強力な支援を供与するよう努めるべきである。我々は,また,持続可能な公共支出計画の策定及びその透明かつ責任ある方法による効果的運営のための能力構築支援のために努力する国々への支援に努める。

 ・貧困削減並びに初等教育,基礎保健医療,男女平等,水・衛生,食糧安全保障,環境,統治の改善,及び経済成長に関する多国間で受け入れられた目標に照らし,進捗状況を評価することの重要性。我々は,これらの目標に向けた進捗状況に関し,国連,世界銀行及びOECDが定期的報告をするためのイニシアティブをとりつつあることを歓迎した。

 ・ナポリ・タームの下で既に実施された大規模な債務救済及びHIPC(重債務貧困国)債務救済適格と明確に認められた6カ国及び近い将来適格と認められそうなもう2カ国について達成された成果。我々は,すべての適格国に対し,それらの国すべてが2000年迄にこのプロセスに入れるよう,出来る限り早期にこのプロセスを開始するために必要な政策措置をとるよう奨励する。我々は,自国の輸出信用機関がHIPC諸国への輸出信用が生産的に用いられることを確保するよう努めるべきことについて意見の一致をみている。

5.我々は,より多くの開発途上国が外国直接投資を誘引し追加的な国内資源を動員するために必要な改革を実施することの重要性を強調した。このため我々は,以下の点につき一致した。

 ・安定的で生産的な民間資金フローを促進するための事業環境形成に努めている国々を,特に教育と訓練,制度づくり,法制度の改善及び社会・経済インフラのその他の側面における改善を通じ支援する。

 ・多国間及び二国間の投資保証のより革新的な利用を,資本市場の効率改善と矛盾しない形で,促進する。

6.我々は,国際金融機関に特に以下を行うよう求めた。

 ・金融セクターにおける規制の枠組みの開発及び実施を支援する。

 ・魅力的な投資環境の諸要素をより効果的に創出する融資プログラムを開発する。

 ・短期的な国際収支上又は財政上の困難を招くであろう意欲的な貿易自由化を実施している国々に一時的に資金を供給する。

7.我々は,地域統合を目指したいと望む開発途上国間において,特に多くの国が小規模で細分化した市場と貧弱な運送施設に苦しめられているアフリカにおける地域統合の価値を強調した。我々は,引き続きこのプロセスを技術協力により支援する用意がある。我々は,また,国際金融機関に対し,地域を基盤とするイニシアティブへのより効果的な支援及び新たな手段の開発を促した。

8.我々は,後発開発途上国の特別な貿易上の困難を認める。我々は,統合的技術協力プログラムを含む,後発開発途上国に対するWTO行動計画の効果的な実施の重要性を強調する。我々は,WTO閣僚会合において進捗状況を常時検討していく。

9.我々は,また,良い統治と参加型開発の促進,運営規則の作成を含む汚職との闘い,並びに資金洗浄と闘う目的の地域グループ形成のための,すべての開発途上国による努力,特にアフリカにおいてなされている努力を支持する。

電子商取引

10.情報と通信の技術は,先進国,新興国,途上国のすべての国に対し,その生活の質と経済的福祉に革命を起こすような機会を提供している。世界の成長と雇用に対する電子商取引の持つ潜在的影響力は大きい。巨大な進展が既になされた。電子市場は世界中の取引者をつなげるものであり,多くの仕事が世界大のインターネットに依存している。我々は,予測可能で安定した環境,及び競争と消費者の選択が経済活動を動かすような継ぎ目のない,分権化された世界市場を確保することにより,未来に最善の機会が提供できるよう,国際機関及び民間セクターと協力する。とりわけ,我々は,WTO,OECD,その他の適当な国際的フォーラム及び民間セクターにおける作業を歓迎し,以下を奨励する。

 ・電子的なビジネス行為についての不適当,不要な法的障壁の除去。

 ・税制は,技術に対して中立的であるべきこと。税制は,不要な障壁を作ることにより商業機会を妨げるものであってはならず,また,税の回避や脱税の余地を増大させるものであってはならない。OECDを通じた国際協力が不可欠である。

 ・国際機関及び民間セクターが以下の目的のために世界大の国際的な枠組みの発展を加速化させること。すなわち,競争を促進すること,プライバシー,消費者利益,知的所有権を保護すること,インターネット上の契約を容易にする電子認証の使用を含めること,開かれた,かつ国際的に合意される基準の促進を含めること。

 ・電子認証に関するUNCITRAL(国連国際商取引法委員会)の作業及び暗号政策ガイドラインの実施についてのOECDの作業の迅速な進展。

 ・政府調達の透明性に関するWTOのワーキング・グループにおける進展とWTO政府調達協定の改革を推進し,またWTOその他の場における貿易促進のための作業を進めつつ,行政機関がプログラムとサービスを提供するために電子的手段を使用すること。

 ・如何なる提案も実際的であり,市場の需要を考慮に入れたものとなることを確保するため,政府がこうした作業において企業と消費者を関与させること。

11.我々は,10月のオタワOECD閣僚会合及びその他の国際フォーラムにおける進展に期待する。税制の枠組みが優先事項である。我々は,事務当局が来年報告するよう要請した。