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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第13回主要国首脳会議におけるテロリズムに関する声明

[場所] ヴェネチア
[年月日] 1987年6月9日
[出典] 外交青書31号,400−401頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

われわれ主要民主主義諸国7カ国の元首及び首相並びに欧州共同体の代表は,ここヴェネチアに参集し,テロリズムの与える脅威に対するわれわれの国民の懸念を深く認識して,

 ボン,ヴェネチア,オタワ,ロンドン及び東京サミットで発出されたテロリズムに関する諸声明に対するわれわれのコミットメントを再確認する。

航空機ハイジャック及び人質をとることを含むすべての形態のテロリズムを断固として非難し,テロリズムはその動機のいかんにかかわらず正当化されないとのわれわれの信念を繰り返す。

テロリスト及びその支持者に対しいかなる譲歩も行わないとの原則に対するわれわれ各自のコミットメントを確認する。

国際テロリズムの主唱又は支援に明白に関与しているすべての国家について,国際法の枠内において,かつ,自国の管轄権の範囲内で効果的な措置を引き続き適用する決意である。

われわれが前回1986年5月に東京で会合して以来テロリズムに対抗する国際協力の面でなされた前進,特にテロリズム対策に責任を有する9カ国の閣僚会合を5月にパリで開催したフランスとドイツのイニシアティヴを歓迎する。

国内措置並びにわれわれ相互の間及び,適当な場合には,他の諸国との間の国際協力を通じてテロリズムと闘うわれわれの決意を再確認し,したがって,志を同じくするすべての国に対しあらゆる適切な場における国際協力を強化し拡大するよう再度訴える。

旅行者の安全を向上する努力を継続する。われわれは,空港及び海運の保安の改善を歓迎し,この面における国際民間航空機関及び国際海事機関の作業を奨励する。われわれはいずれも,保安上の問題を惹起する航空会社の活動を注意深く監視し続ける。国家元首及び首相は,民間航空に影響を及ぼすすべての形態のテロリズムに対処する上で1987年のボン宣言をより有効なものとするため,この声明の附属書の諸措置をとることを決定した。

テロリストを裁判にかけるための法の支配を支持することを約束する。われわれはいずれも,関連する場において,国内法及び国際法の枠内で,テロリストの捜査,逮捕及び訴追についての協力を増大することを誓約する。特に,テロ行為を犯した者を国内法及び関連する国際協定に従って訴追し又は引き渡すとのこれらの国際協定により確立された原則を再確認する。

附属書

7カ国の元首及び首相は,国際テロリズムに関する東京声明において,民間航空に影響を及ぼすすべての形態のテロリズムに対処する上で1987年のボン宣言をより有効なものとすることに合意したことを想起する。このために,民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関するモントリオール条約に規定された犯罪を犯した者の引き渡し若しくは訴追を拒否する国又は当該航空機を返還しない国については,ボン宣言に述べられているとおり,これらの国への航空機の運行を停止させるため,7カ国の元首及び首相は,自国の政府が直ちに行動をとることを共同して決意した。

7カ国の政府は,同時に,ボン宣言に述べられているとおり,当該国からの航空機の自国への運行及び当該国の航空機のすべての国からの自国への運行を中止するために行動を開始する。

7カ国の元首及び首相は,また,上記条約又は犯人の引き渡し若しくは訴追に関するその他のすべての航空条約に将来関連の改正が行われた場合には,当該改正も対象となるようボン宣言の適用を時宜をみて拡大する意向である。

7カ国の元首及び首相は,他の政府に対してもこのコミットメントに参加するよう要請する。