データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第10回主要国首脳会議における東西関係と軍備管理に関する宣言

[場所] ロンドン
[年月日] 1984年6月9日
[出典] 外交青書29号,477頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々は,東西関係につき実質的な討議を行った。我々は,何より必要なことは,我々全ての連帯と堅い決意であることを強調した。

2.同時に我々は,ソヴィエト連邦及びその同盟諸国との間で,政治的対話の拡大と長期的な協力を探求し続ける決意である。多くの分野で,接触がもたれ,広げられつつある。我々は,それぞれ,対話のためのあらゆる有益な機会を探求していく。

3.我々の目的は安全保障であり,可能な限り低い水準の兵力である。我々は,種々の軍備管理交渉において早期にかつ積極的な結果が得られること及び現在中断している交渉の早急な再開を希望する。米国は,いつ何処でも前提条件なしに核軍備管理の話し合いを再開することを申し出ている。我々は,ソヴィエト連邦が建設的かつ積極的に行動するよう希望する。我々は,これが東西双方の共通の利益に叶うものであると確信する。我々は,信頼を醸成し,また,厳格なコミットメントを通じ,武力不行使の原則に具体的な表現を与えるような合意の達成を支持する。

4.我々は,東側と西側が次のような重要な共通の利益を有していると信じる。即ち,平和の維持,信頼と安全保障の向上,奇襲攻撃叉は偶発戦争の危険の軽減,危機管理の手法の改善,そして核兵器の拡散防止である。

(ホ)イラン・イラク紛争に関する議長声明

議長声明

1.我々は,イラン・イラク紛争のあらゆる側面について話し合った。

2.我々は,この紛争が人々の苦しみを増大させ,物理的損害及び敵意をもたらしていることに対し,又,人道に係る国際法が侵害されていることに対し,深い懸念を表明した。

3.我々すべてが希求し切望することは,双方が相手に対する攻撃及び他の諸国の船舶に対する攻撃を中止することである。航海の自由の原則は,尊重されなくてはならない。我々は,この紛争がこれ以上拡大すべきでないと考えており,この地域における安定を助長するために,我々として出来ることをするつもりである。

4.我々は,当事者が,平和的かつ名誉ある解決を探求するよう奨励する。我々は,このような解決を実現しようとするすべての努力,就中,国際連合事務総長による努力を支持する。

5.我々は,経済宣言で打ち出された線に沿って,世界の石油供給の受ける影響についても検討した。我々は,世界の石油市場がこれまで比較的安定的に推移してきたことに留意した。我々は,国際システムが,既にとられつつある慎重でかつ現実的な施策の継続により,予見しうるいかなる問題にも対処する意思と能力を備えていると信ずる。