データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第10回主要国首脳会議における国際テロリズムに関する宣言

[場所] ロンドン
[年月日] 1984年6月9日
[出典] 外交青書29号,475−477頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.元首及び首相は,国際テロリズムの問題につき話し合った。

2.彼らは,ボン(1978年),ヴェニス(1980年)及びオタワ(1981年)の宣言以来,ハイジャック及び誘拐行為は安全対策の改善の結果減少してきているが,テロリズムは,時として麻薬の密輸と連携しつつ,他の手法をあみだしてきていることに留意した。

3.彼等は,既存の措置を強化し効果的な新措置を考案して,あらゆる手段でこの脅威と闘う決意を表明した。

4.彼等は,テロリストが容易に国境を越えて移動し,武器,爆発物,訓練及び資金を得ている状況に,不快の念をもって留意した。

5.彼等は,国家乃至政府が外交特権の濫用を含むテロ行為にかかわりあうことが増えてきていることに,重大な懸念を寄せた。

 彼等は,外交使節団の不可侵権など国際法上の諸要請を認める一方,この法に伴うところの義務をも強調した。

6.話し合いにおいて支持が見られた提案には次のものが含まれる。

−警察,治安組織,その他の関連当局の間の一層緊密な協力及び調整,特に資料,情報,技術的知識の交換。

−テロリストに利用されかねない国内法制上の抜け穴についての各国による吟味。

−外交使節団の規模及び外交特権を享受する建物の数といった事項についての接受国のウィーン条約上の権利行使。

−テロリズムを支持する国に対する武器販売を見直すための各国の行動。

−外交的地位を有する者でテロリズムに関与している者を含め,テロリストとして知られている人物の国外追放叉は入国禁止に関する協議及び可能な範囲の協力。

7.元首及び首相は,これが全ての文明国家に影響を及ぼす問題であるとの認識を示した。彼等は,テロ行為を防止し処罰するために,適格な国際機関を通じ,また,国際社会全体として行動を促進していくことを決意した。