データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米紳士協約 第六號 在本邦米國大使「オブライエン」氏ヨリ林外務大臣宛明治四十一年一月二十五日附書翰竝附屬書(日米紳士協定 第六号 在本邦米国大使「オブライエン」氏より林外務大臣宛明治四十一年一月二十五日付書翰並附属書)

[場所] 
[年月日] 1908年1月25日
[出典] 日本外交年表並主要文書上巻,外務省,301‐302頁.
[備考] 
[全文]

  第六號 在本邦米國大使「テイー・ジエー・オブライエン」氏ヨリ林外務大臣ニ致セル明治四十一年一月二十五日附來翰附屬書

本日附本使ノ書翰ニ關スル追加方法ニシテ移民制限ヲ一層有効ナラシメ且一層滿足スヘキ結果ヲ生スヘシト堅ク信セラルルモノニ有之候

第一 旅劵ハ其僞造及他人轉用ヲ防止スル爲嚴重ニ調査ヲ加ヘラレ其下付ノ際ニモ亦多大ナル注意ヲ拂ハルヘシ

第二 曾テ米國領內ニ居住セル勞働者又ハ旣ニ渡米セル勞働者ノ兩親、妻又ハ小兒ニ對シ旅劵下附ノ際ハ十分ニ用心ヲ加へ且其數ヲ制限セラルヘシ左ナキニ於テハ濫發ノ弊必定ナルヘキ恐レアリ

第三 永住農業者ニ關シ採ルヘキ豫防方法ノ要點モ亦指示セラレアリ右永住農業者トハ小農資本家ニシテ彼ノ單ニ契約上農業仕事ヨリ收得スルモノヲ以テ其ノ給料ニ充用セラルル所ノ農業日雇ニアラサルモノト了解致候ニ付此標準ニ從ヒ右ノ如キ經濟上ノ位置ヲ有スルモノニ對シテノミ相當ノ數ニ於テ旅劵ヲ下付セラルヘシ然ルニ右農業者カ右樣ノ資格ヲ有スト云フモ現實ニ土地ノ所有權ヲ有スルニアラサレハ適以テ米國契約勞働法違反ヲ免カルル一ツノ口實ニ過キサル事實ト相成可申候

第四 日本政府カ其勞働者ニ對スル解釋カ米國ニ適合セラルルコト全然必要ナリ其一例ヲ擧クレハ十二月二十七日ヨリ一月十日迄ニ太平洋諸港ニ到着セル日本人百十八人ハ米國ノ規則ニヨレハ勞働者ナリシモ彼等ハ勞働者外ノ者トシテ旅劵ヲ申受ケ居タリ又右期限內ニ勞働者トシテ旅劵ヲ携帶シ來レルモノ僅ニ四人ナリキ

第五 布哇行ヲ目的トスル勞働者ニ下付スヘキ旅劵ハ米國大統領ニ於テ他日承諾セラルル迄ハ一ケ年一千名ニ限ラルヘシ

協議第一項ニ關スル意見ノ一例ハ米國市民ニ發給スル旅劵ニ就テ見ラルヘシ右各旅劵ニハ携帶者ニ關スル一切ノ記事ト本人及發給官吏ノ記名アルヲ見ルヘシ右旅劵ヲシテ一層有効ナラシメンニハ各旅劵面ノ記事ハ日英兩國語タルヘク且携帶者ノ行キ先及其下付セラレタル事實其傭役ニ關スル制限ヲ平易ナル文字ニテ記入セラルヘシ