データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 1776年7月4日、大陸会議におけるアメリカ13連合諸邦すべての一致した宣言(アメリカ合衆国独立宣言,アメリカ独立宣言,米国独立宣言)

[場所] 
[年月日] 1776年7月4日
[出典] 
[備考] 翻訳 田中明彦
[全文] 

1776年7月4日、大陸会議におけるアメリカ13連合諸邦すべての一致した宣言

史上、一個の人民が他の人民との間に結ばれた政治的つながりを解消し、世界各国のなかで自然法と神の法があたえた自立平等の地位を獲得しなければならぬと決意する時、独立の大義を明らかにすることは人として当然のことである。

われわれは以下のいくつもの真実を自明のものと考える。すなわち、すべて人は平等に造られ、創造者によって、生命、自由、および幸福の追求を含む奪うことのできない一定の権利を与えられている。これらの諸権利を確保するため、人々の間でその正当な権限が被治者の合意に由来する政府が形成されることになったのである。いかなる形態の政府であれ、この目的に有害なものになるときには、これを変革ないし廃止し、新たな政府を形成し、安全と幸福を最も良く実現するような原理の基盤を築き、安全と幸福を最も良く実現するような権力を組織することは人々の権利である。もちろん、慎重な見方からすれば、長きにわたる政府は軽微な一時的な理由によって変革されるべきでない。したがって、これまでの経験からすれば、人類は、悪が耐えられるかぎり、これまで慣れ親しんだ政体を廃止することによって自らの状況を正すよりも耐え続けるという性質をもってきた。しかし権力の乱用や権利の侵害が継続的かつ一貫して行われ、人々を絶対的専制のもとにおく意図が明白となるとき、そのような政府を打倒し、未来の安全のため新しい政治体制を設立することは、人々の権利であり、また義務である。これこそが、われら植民地が耐え忍んできた苦悩であり、これが、いまやこれまでの政治体制を変革することに向かわせる必要なのである。現在の英国国王の歴史は、繰り返される傷害と強奪の歴史であり、われら諸邦に絶対的暴政を確立することを直接目的としてきた歴史である。これを証明するため、公正な世界に対し以下の事実を提示する。

国王は、公共善のために最も健全かつ必要な法律に同意することを拒否してきた。

国王は、自らの合意が得られるまでは保留されるとの規定のない法律の場合、緊急かつ切迫した法律であっても総督がこれを可決することを禁止した。保留された法律の場合は、全く顧みることなく放置した。

国王は、ひとびとが英国議会における代表権――彼らにとってかけがえなく、専制者にとっては恐るべき権利――を放棄しなければ、広大な地域の人々のためになる他の法律の可決を拒否するとした。

国王は、議会を、通例と異なる場所、不便で、公式記録の保存場所から遠隔の地で開催した。議員を疲労困憊させて王の措置に従わせようとするためであった。

国王は、国王による人々の権利への侵害に断固抗議したかどで、何回も各植民地の代議院を解散した。

国王は、そのような代議院解散の後、長期間にわたって各代議院を選出することを拒否した。立法権は、消滅することはありえないので、一般の人々が行使するため返還されたことになり、その間、諸邦政府は外的な侵害や内的な騒擾の危険にさらされることになった。

国王は、これら諸邦の人口増加をさまたげる措置をとった。そのため外国人の帰化法を阻害し、かれらの帰化を慫慂するその他の法律の可決を拒否し、新たな土地所有の条件を強化した。

国王は、司法権を確立しようとする法律への合意を与えることを拒否し、司法行政を妨害した。

国王は、判事の任期や給与の額と支払い方法を自らの一存のもとにおき、彼らを国王の意思のみに従属させた。

国王は、数多くの新たな官職をもうけ、役人の大群によって人々に嫌がらせをし、人々の糧を食い荒らさせた。

国王は、平時において、われらの立法の同意なくこの地に常備軍を駐留させてきた。

国王は、この軍隊を文民の権限から独立させ優位に立たせるようにしてきた。

国王は、他者と共謀して、われらの政治体制と相容れず、われらの法律によって認可されることのない管轄権のもとにわれらをおこうとし、以下のような見せかけの立法に合意を与えてきた。

われらのうちに大規模な軍隊を宿営させる法律、

偽の裁判によって、われら諸邦の住民に対して犯した殺人への刑罰から軍隊の兵員を保護する法律

世界中すべてとのわれらの貿易を切断する法律、

われらの同意なく税金を課す法律、

多くの裁判において、陪審による裁判の利益をわれらに与えない法律

虚偽の罪状によってわれらを裁くためにわれらを海外に移送する法律、

隣接する王領植民地において英国法体系を廃止し、恣意的な政府を設立し、境界を拡大し、われら植民地において同様の絶対支配を導入するための先例・適切な措置となす法律

われわれの植民地設立特許状を剥奪し、われらの最も貴重を法律を廃止し、われらの政治体制を根本的に変化させる法律、

われらの立法を停止させ、すべての事例にかんして立法権が英国議会にあることを宣言する法律。

国王は、われらが彼の保護の外にあることを宣言し、われらに対する戦争に及ぶことによって、当地における統治権を放棄したのである。

国王は、われらの海域を略奪し、われらの海岸を破壊し、われらの町々を焼き、人々の生命を奪った。

国王は、今、外人傭兵の大軍を投入し、継続してきた死と悲惨と暴政の事業を完成させようとしている。残忍と裏切りにみちたこの状況は、最も野蛮な時代にも見られなかったことであり、文明国の元首の行いとは到底いえない。

国王は、公海上でとらえたわれらの同胞市民をして、かれらの国に対して戦うことを強い、かれらの友人や兄弟たちの処刑者とならしめ、あるいは自らの手で自らの命をおとすよう強要してきた。

国王は、われらの内に内乱をそそのかし、その戦争作法が年齢、性別、その他一切を問わない破壊であるところの、慈悲を知らぬインディアンの野蛮人を辺境地帯の住民に対して投入しようとしてきた。

これら圧制のすべての段階において、われらは、最も慎ましい形で是正の嘆願をしてきた。われわれの何回もの嘆願への回答は、度重なる権利侵害であった。暴政者を定義するところの行為を特徴とする性格をもつ君主は、自由な人々の支配者としてふさわしくない。

われわれは、英国のわれらの兄弟たちへの注目をしてこなかったわけではない。われわれは、かれらの立法府がわれわれに不適切な法的管轄をとろうとしてきたことにしばしば警告してきた。当地へのわれらの移住と定着についての状況についても想起させてきた。われわれは、かれらが本来持つ正義と寛大さに訴えかけてきた。これらの権利侵害は、必然的にわれらの紐帯や連携を阻害するのであるから、われらがこれに抵抗することに対してかれらとわれらの同志的なつながりを思いおこさせようとしてきた。しかし、かれらもまた、この正義と血縁関係の声に対して聞く耳をもたなかった。したがって、われわれは、われらの分離を宣言し、世界の他の人々と同様、かれらは戦時における敵、平時における友であるとするこの必要性に従わざるを得なかったのである。

したがって、われわれアメリカ連合諸邦の代表は、召集された大陸会議において、われわれの意図の誠実さを、世界の最高審判官に訴え、これらの植民地の良き人民の名のもと、そしてその権限により、以下を厳粛に公表・宣言する。これらの植民地は、権利により自由で独立の国家でなければならない。これら植民地は、英国国王へのすべての忠誠から免除される。イギリス国家とのすべての政治的結合は解除され、また完全に解除されなければならない。自由で独立の国家として、これらの植民地は戦争を開始し、平和を講じ、同盟を結び、通商を確立し、独立国家が権利により行う他のすべての物事を行う。そして、この宣言を支持するため、神の節理による庇護を堅く信頼しつつ、われわれは生命、財産、そして神聖な名誉にかけて相互に誓う。